褥瘡(じょくそう)予防の研修は義務?施設の体制整備義務と研修の位置づけ
更新日:2026-07-04・約4分で読めます
褥瘡(床ずれ)予防について、施設に義務づけられているのは「適切な介護と発生予防の体制整備」です。研修そのものを明文で義務づける規定はありませんが、体制整備や加算の一環として研修が行われます。どのサービスに関係し、研修で何を扱うのかを一次資料の裏取り範囲で整理します。
まず結論:施設の義務は「体制整備」。研修そのものの明文義務はない
介護老人福祉施設などの運営基準(平成11年厚生省令第39号第13条第5項)は、「褥瘡が発生しないよう適切な介護を行うとともに、その発生を予防するための体制を整備しなければならない」と定めています。つまり施設に求められているのは「適切な介護」と「予防体制の整備」であり、この条文に「研修を実施しなければならない」という明文の義務はありません。
では研修は不要かというと、そうではありません。予防体制を実際に機能させるには、職員が褥瘡の発生要因やリスクの見きわめ方、予防のケアを共通して理解している必要があります。そのため、体制整備の一環として研修が行われるのが一般的です。本記事では「明文の義務ではないが、体制整備・ケアの質のために実施が推奨される研修」という位置づけで整理します。
- 施設の義務:適切な介護+褥瘡発生を予防するための体制整備(省令39号13条5項)。
- 研修:条文上の明文義務ではないが、体制整備・ケアの質を担保する手段として推奨。
どのサービスに関係する?——施設・宿泊系が中心
褥瘡予防は、長時間の臥床や同一姿勢が続きやすい、宿泊や入所を伴うサービスでとくに重要になります。本サイトでは、施設系に加えて、短期入所系・多機能系・認知症グループホームなど宿泊・共同生活を伴う類型で研修の実施を「推奨」として扱っています。
一方、通所系・訪問系・居宅介護支援・福祉用具貸与については、褥瘡予防研修の義務・推奨の対象としては整理していません。ただしこれは「褥瘡に関わらない」という意味ではなく、在宅でも体位変換やスキンケア、栄養状態の観察は重要です。訪問・通所の現場でも、利用者の状態に応じて予防の視点を持つことが求められます。
褥瘡マネジメント加算と研修の関係
施設系では、褥瘡の発生リスクを評価し、計画的に予防・管理を行った場合に算定できる「褥瘡マネジメント加算」があります。加算の算定にあたっては、リスク評価やケア計画、多職種による取り組みが求められ、その運用の中で職員研修が事実上行われます。
注意したいのは、体制整備の「義務」と、褥瘡マネジメント「加算」は別の話だという点です。加算を算定しない事業所でも、褥瘡が発生しないよう適切な介護と予防体制を整える義務そのものは変わりません。加算の有無にかかわらず、予防の基本を職員間で共有しておくことが大切です。
研修で扱う内容(予防の基本)
褥瘡予防の研修では、なぜ褥瘡が起きるのか、どんな人がリスクが高いのか、日々のケアで何に気をつけるのかを共通言語にすることが中心になります。医学的な評価や治療の判断は医師・看護師など専門職が担いますが、日常のケアを行う介護職が予防の視点を持てるようにするのが研修の目的です。
- 褥瘡が起きるしくみと、発生しやすい部位(仙骨部・かかと・肩甲骨など)。
- リスクが高い状態(低栄養・寝たきり・皮膚の湿潤・感覚障害など)の理解。
- 体位変換・ポジショニング、体圧分散用具の活用。
- スキンケア(清潔・保湿)と、皮膚の観察・早期発見。
- 栄養・水分と褥瘡の関係、多職種(看護・管理栄養士・リハ職)との連携。
- 発赤など気づいた変化を、自己判断で処置せず看護職・医師へつなぐこと。
記録として残すもの
研修を実施したら、いつ・誰が・何を学んだかを実施記録と出席簿に残します。あわせて、褥瘡のリスク評価やケアの記録を蓄積し、予防体制が実際に機能していることを示せるようにしておくと、運営指導でも体制の実効性を説明できます。医療的な処置・治療の方針は、必ず医師・看護師の指示にもとづいて行ってください。
無料で使える褥瘡予防研修キット
本サイトの「褥瘡(じょくそう)予防研修キット」には、予防の基本をそのまま読み上げられるレジュメ、確認テスト10問、実施記録様式、出席簿がそろっています。登録不要・無料で、入力内容はお使いのブラウザ内にのみ保存され、外部には送信されません。褥瘡は医療とも関わるテーマのため、具体的なケア・処置は自事業所の看護職や主治医の指示にあわせてご活用ください。
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