介護の感染症対策の研修は年何回?施設・居住系は年2回、その他は年1回。委員会の間隔・訓練・新規採用時・加算を原文で整理(2026)
更新日:2026-10-26・約12分で読めます
介護の感染症対策では、すべてのサービスに委員会の開催・指針の整備・研修と訓練の定期的な実施が義務づけられています。研修と訓練の回数は、特養・老健・介護医療院などの施設系と特定施設・グループホームの居住系が年2回以上、訪問・通所・短期入所・多機能系・居宅介護支援などが年1回以上です。委員会は施設系がおおむね3か月に1回以上、それ以外はおおむね6か月に1回以上です。新規採用時の扱い、BCPとの一体実施、減算と加算との関係を、運営基準・解釈通知・告示・Q&Aの原文で整理しました(2026年10月時点)。
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研修キット(レジュメ・確認テスト・記録様式)
まず結論:委員会・指針・研修・訓練が全サービスで義務。研修・訓練は施設・居住系が年2回以上
介護保険の運営基準(厚生労働省令)は、すべてのサービスに、感染症が発生し、又はまん延しないように、委員会の開催、指針の整備、研修と訓練の定期的な実施を義務づけています。委員会の開催の間隔は運営基準の条文に、研修と訓練の回数は解釈通知(基準の解釈を示す厚生労働省の通知)に書かれています。
- 委員会:施設系(特養・地域密着型特養・老健・介護医療院)はおおむね3か月に1回以上、それ以外はおおむね6か月に1回以上開催し、結果を従業者に周知徹底します(運営基準)。
- 指針:平常時の対策と発生時の対応を定めた指針を整備します(運営基準)。
- 研修・訓練:施設系と居住系(特定施設・地域密着型特定施設・グループホーム)は年2回以上、それ以外は年1回以上です(解釈通知)。
- 施設系だけの追加:対象は「感染症又は食中毒」で、厚生労働大臣が定める手順に沿った対応も求められます(運営基準)。
- 経過措置:令和6年3月31日で終わっています。
根拠:運営基準の条文。委員会の間隔は省令に書いてある
訪問介護の運営基準(平成11年厚生省令第37号)第31条第3項は、事業所で感染症が発生し、又はまん延しないように次の措置を講じなければならないと定めています。第1号が委員会を「おおむね六月に一回以上開催するとともに、その結果について、訪問介護員等に周知徹底を図ること」、第2号が指針の整備、第3号が「研修及び訓練を定期的に実施すること」です。委員会はテレビ電話装置等を活用して行うことができます。
特養の運営基準(平成11年厚生省令第39号)第27条第2項は、同じ構成で委員会を「おおむね三月に一回以上」とし、研修は「感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修」、訓練は「感染症の予防及びまん延の防止のための訓練」としています。第4号は、別に厚生労働大臣が定める感染症又は食中毒の発生が疑われる際の対処等に関する手順に沿った対応を求めています。サービス別の条文は次のとおりです。
- 居宅サービス(37号):訪問介護 第31条第3項(訪問入浴介護・訪問看護などが準用)、通所介護 第104条第2項(短期入所生活介護・特定施設などが準用)、通所リハビリテーション 第118条第2項、福祉用具貸与 第203条第6項。
- 地域密着型サービス(平成18年厚生労働省令第34号):定期巡回 第3条の31第3項、地域密着型通所介護 第33条第2項(小規模多機能型居宅介護・グループホームなどが準用)、地域密着型特養 第151条第2項。
- 居宅介護支援(38号):第21条の2。
- 施設:特養 39号 第27条第2項、老健 40号 第29条第2項、介護医療院(平成30年厚生労働省令第5号)第33条第2項。いずれも委員会はおおむね3か月に1回以上です。
根拠:解釈通知の回数と新規採用時。文言は3通り
研修と訓練の回数は、令和3年度改定の解釈通知(介護保険最新情報 Vol.934)がサービスごとに示しています。新規採用時の研修については、施設系の「必ず…実施することが重要である」、居住系の「実施すること」、それ以外の「実施することが望ましい」の3通りの書き方があります。
- 特養・地域密着型特養・老健・介護医療院:研修 年2回以上、新規採用時には「必ず感染対策研修を実施することが重要である」。訓練 年2回以上。
- 特定施設・地域密着型特定施設・グループホーム:研修 年2回以上、新規採用時には「感染対策研修を実施すること」。訓練 年2回以上。
- 訪問系(訪問介護・訪問入浴介護・訪問看護・訪問リハビリテーション・定期巡回・居宅療養管理指導):研修 年1回以上、新規採用時は「望ましい」。訓練 年1回以上。訪問介護は「登録訪問介護員等を含めて」とされています。
- 通所系・短期入所系・多機能系(通所介護・通所リハビリテーション・短期入所生活介護・短期入所療養介護・小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護など)と、居宅介護支援・福祉用具貸与・特定福祉用具販売:研修 年1回以上、新規採用時は「望ましい」。訓練 年1回以上。
- 共通:研修の実施内容は記録することが必要です。
令和3年度に変わったこと:施設系は「訓練」が加わり、それ以外は4つとも新たに義務に
厚生労働省の令和3年度介護報酬改定の改定事項は、施設系サービスについて「現行の委員会の開催、指針の整備、研修の実施等に加え、訓練(シミュレーション)の実施」を、その他のサービス(訪問系・通所系・短期入所系・多機能系・福祉用具貸与・居宅介護支援・居住系)について委員会・指針・研修・訓練の実施等を義務づけるとしています。
施設系の委員会(おおむね3か月に1回以上)と研修(年2回以上・新規採用時に必ず)は令和3年度より前からあり、解釈通知の新旧対照表でも旧欄に載っています。経過措置は、施設系の訓練が改正省令(令和3年厚生労働省令第9号)附則第11条、それ以外のサービスの措置が附則第4条で、どちらも令和6年3月31日までは努力義務でした。
委員会と指針:構成員・担当者・一体運営
解釈通知は、委員会と指針について次のように示しています。
- 構成:感染対策の知識を有する者を含む幅広い職種で構成することが望ましく、外部の者の参画も積極的に得ることが望ましいとされています。施設系は、施設長(管理者)・事務長・医師・看護職員・介護職員・栄養士又は管理栄養士・生活相談員を例に挙げています。
- 担当者:感染対策担当者を決めておくことが必要で、施設系は看護師が望ましいとされています。令和6年度の解釈通知(訪問介護など)は、事故防止・虐待防止などの担当者との兼務を、職務に支障がなければ差し支えないとしています。
- 随時の開催と一体運営:感染症が流行する時期等には随時開催が必要です。関係が深い他の会議体と一体的に設置・運営して差し支えありません。
- 1人の事業所:居宅介護支援と居宅療養管理指導は、従業者が1名なら指針の整備で委員会を開催しないことも差し支えないとされています。
- 指針の中身:平常時の対策(事業所内の衛生管理、手洗い・標準的な予防策など)と、発生時の対応(発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関・保健所・市町村の関係課との連携、行政への報告など)を定めます。記載内容の例は「介護現場における感染対策の手引き」を参照するよう示されています。
研修の中身:解釈通知の文言と「介護現場における感染対策の手引き(第3版)」
解釈通知は、研修の内容を「感染対策の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該事業所における指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行を行うもの」としています。厚生労働省の研修教材等を活用するなど、事業所内で行うものでも差し支えありません。施設系は、調理や清掃などの業務を委託する場合、委託を受けて行う者にも施設の指針が周知されるようにする必要があるとされています。
厚生労働省老健局の「介護現場における感染対策の手引き(第3版・令和5年9月)」は、研修について次のように説明しています。
- 研修の目的:感染症の予防・感染拡大の防止とともに、感染者に対する差別や偏見を防止する観点から、職員に十分な教育・研修を行うことが重要とされています。
- 計画:指針やマニュアルに基づき、感染対策委員会や感染管理責任者等が検討し、年度の初めに研修計画を立てます。
- 研修の種類の例:新人研修(入職前後に基礎知識と手洗い等の実習)、定期研修(食中毒やインフルエンザの予防と対策など)、外部研修、勉強会、日常業務の中での指導(OJT)。
- 研修の成果の把握:受講者アンケートや日常のケア場面での実践状況の確認で成果を把握し、次の研修計画に役立てる工夫例が紹介されています。
訓練の中身:役割分担の確認とケアの演習。机上と実地を組み合わせる
解釈通知は、訓練(シミュレーション)を「平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について」行うものとし、発生時の対応を定めた指針と研修内容に基づき、「事業所内の役割分担の確認や、感染対策をした上でのケアの演習など」を実施するとしています。手法は机上を含めて問わず、机上と実地を適切に組み合わせて行うことが適切とされています。
手引き第3版は、関係者が参加して発生を想定した訓練を行い、介護職員による異常の発見から看護職員・医師、施設長や管理者、行政、保健所への「報告・連絡系統」を確認することを挙げ、机上訓練の参考として厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症感染者発生シミュレーション~机上訓練シナリオ~」を収録しています。
業務継続計画(BCP)の研修・訓練と一体で行える
運営基準は、感染症や非常災害の発生時に備えた業務継続計画について、従業者への周知と、必要な研修と訓練の定期的な実施も求めています(訪問介護 第30条の2第2項など)。解釈通知は、「感染症の業務継続計画に係る研修については、感染症の予防及びまん延の防止のための研修と一体的に実施することも差し支えない」とし、訓練についても同じ扱いとしています。
- BCP の研修・訓練の回数:感染症対策と同じく、施設系・居住系は年2回以上、それ以外は年1回以上です。
- 中身の違い:厚生労働省の感染症の業務継続ガイドラインは、手指消毒やゾーニングの方法などは主に感染対策マニュアル、体制の整備・連絡先の整理・職員の確保・業務の優先順位などは主に BCP で扱うというイメージを示しています。
- 当社の整理:一体で行う時は両方の内容を含め、実施記録にどちらの研修・訓練として行ったかを書いておくと、運営指導で示しやすくなります。
「研修をしないと減算?」:感染症対策そのものの減算はない
感染症の予防及びまん延の防止のための措置(委員会・指針・研修・訓練)が講じられていないことを理由とする報酬の減算はありません。令和6年度の改定事項で新設された減算は、業務継続計画未策定減算と高齢者虐待防止措置未実施減算です。関係する仕組みは次のとおりです。
- 業務継続計画未策定減算:感染症若しくは災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定で、計画に従い必要な措置が講じられていない場合に、施設・居住系は所定単位数の3%、その他は1%を減算します。国のQ&A(令和6年度 Vol.1 問164)は、計画の周知・研修・訓練・定期的な見直しの実施の有無は減算の算定要件ではないとしています。
- 減算の経過措置との関係:令和7年3月31日までは、感染症の予防及びまん延の防止のための指針と非常災害に関する具体的計画を整備していれば減算を適用しない経過措置がありましたが、すでに終わっています。
- 運営基準に従わない場合:介護保険法第76条の2は、都道府県知事が、設備及び運営に関する基準に従って適正な運営をしていない事業者に勧告し、従わない場合は公表や命令ができると定めています。
高齢者施設等感染対策向上加算:算定する場合は研修・訓練の中身に反映する
令和6年度の改定で、施設・居住系に高齢者施設等感染対策向上加算と新興感染症等施設療養費が新設されました。対象は特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護医療院です(特定施設とグループホームは介護予防も対象)。
- 加算(Ⅰ)月10単位:第二種協定指定医療機関との新興感染症の発生時等の対応体制、協力医療機関等との一般的な感染症の対応の取決めと連携、感染対策向上加算等の届出をした医療機関や地域の医師会が行う院内感染対策に関する研修又は訓練への1年に1回以上の参加。
- 加算(Ⅱ)月5単位:感染対策向上加算の届出をした医療機関から、3年に1回以上、施設内で感染者が発生した場合の感染制御等に係る実地指導を受けること。Q&A(問132)は、机上の研修のみの場合は算定できないとしています。
- 事業所の研修・訓練との関係:留意事項通知は、運営基準に基づき職員に行う感染症の予防及びまん延の防止のための研修・訓練の内容について、(Ⅰ)は医療機関等の研修又は訓練の内容を、(Ⅱ)は実地指導の内容を「含めたものとすること」としています。
- 新興感染症等施設療養費 1日240単位:厚生労働大臣が定める感染症に感染した入所者等に適切な感染対策を行ったうえでサービスを行った場合に、1月に1回、連続する5日を限度として算定します。留意事項通知は、令和6年4月時点で指定している感染症はないとしています。
運営指導で確認されるもの:確認項目と確認文書の言葉
厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」の別添「確認項目及び確認文書」は、衛生管理等について次の項目と文書を挙げています。
- 確認項目(訪問介護 第31条):委員会の開催(おおむね6月に1回以上)と結果の周知、指針の整備、研修及び訓練の定期実施。
- 確認項目(介護老人福祉施設 第27条):委員会の開催(おおむね3月に1回以上)と結果の周知、指針の整備、研修及び訓練の定期実施(感染症及び食中毒)。
- 確認文書:委員会の開催状況・結果がわかるもの、指針、研修及び訓練の実施状況・結果がわかるもの。
- 注意書き:別添の【はじめに】は、例示した文書のうち運営基準に明記されていないものは、提出がなくても基準違反にはならないとしています。
- 当社の整理:年度の初めに研修・訓練の年間計画を決め、実施日・テーマ・参加者・資料・理解度の確認結果を実施記録と出席簿に残し、委員会の議事録・指針と一緒に保管すると、確認文書として示せます。
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法令・介護報酬は改定されます(本記事は2026年10月時点)。最終的な適用は指定権者(都道府県・市区町村等の自治体)へご確認ください。
この記事で確認した一次資料
2026年10月26日に、下の「出典」に挙げた運営基準と改正省令の附則、介護保険法、解釈通知の改正文、国のQ&A、改定事項、加算の告示と留意事項通知、国の手引きとガイドライン、運営指導の確認文書を取得し、該当箇所を確かめました。
この記事を書いたチームは、note でも介護の仕事で考えたことを書いています。note をフォローする
出典(一次資料)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)
- 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)
- 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)
- 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成11年厚生省令第40号)
- 介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成30年厚生労働省令第5号)
- 介護保険法(平成9年法律第123号)
- 介護保険最新情報 Vol.934(令和3年度改定・解釈通知改正)
- 介護保険最新情報 Vol.1213(令和6年度改定・解釈通知等改正)
- 介護保険最新情報 Vol.1225(令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)・令和6年3月15日)
- 厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」(PDF)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(PDF)
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示」(令和6年厚生労働省告示第86号・PDF)
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(老企第40号)令和6年度改正の新旧対照表(別紙2・抄)
- 厚生労働省「指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準及び指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(老計発第0331005号ほか)令和6年度改正の新旧対照表(別紙5・抄)
- 厚生労働省老健局「介護現場における感染対策の手引き(第3版)」(令和5年9月・PDF)
- 厚生労働省「介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修」
- 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」別添 確認項目及び確認文書(令和6年7月改訂・PDF)
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