介護研修の確認テストは義務?作り方・設問数・合格の目安・記録の残し方 2026|法令の定めと国の資料で整理
更新日:2026-10-26・約20分で読めます
介護の研修のあとに行う確認テストを義務づける条文や通知は、今回確認した省令・解釈通知・運営指導マニュアル・処遇改善加算の通知には見当たりません。運営基準が求めているのは研修の実施で、運営指導では研修の計画と実績が確認文書になっています。一方、国の事業で作られた虐待防止研修プログラムには確認テストが付いており、感染症対策の手引きや虐待対応のマニュアルにも、理解や成果を確かめる方法の例があります。原文で確かめた範囲を示したうえで、確認テストの目的の決め方、出題の型、設問数・時間・合格の目安、再受講の扱い、出題例、記録の残し方を整理しました(2026年10月時点)。
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研修キット(レジュメ・確認テスト・記録様式)
まず結論:確認テストを求める規定は見当たらない。任意だが「理解を確かめた記録」になる
運営基準(厚生労働省令)は、研修について「資質の向上のために、その研修の機会を確保しなければならない」(勤務体制の確保等)、「必要な研修及び訓練を定期的に実施しなければならない」(業務継続計画)、研修を「定期的に実施すること」(感染症・虐待の防止)などと定めています。求めているのは研修を行うことで、研修のあとに理解度を試験することではありません。訪問介護の基準(平成11年厚生省令第37号)、特養の基準(同第39号)、地域密着型サービスの基準(平成18年厚生労働省令第34号)の本文を検索しても、「理解度」「テスト」「効果測定」という語は一つも出てきません。
運営指導の確認文書にも、確認テストは挙がっていません。確認文書は研修について「研修の計画及び実績がわかるもの」などを挙げており、確認テストの結果は、その実績・結果を説明する資料の一つとして事業所が添えるかどうかを決めるものです。つまり確認テストは義務ではなく、事業所が「研修を行っただけでなく、内容が伝わったかも確かめた」と示したいときに使う任意の手段、というのが原文から言える位置づけです。
- 省令(第37号・第39号・第34号):研修の機会の確保・定期的な実施を定める。「理解度」「テスト」「効果測定」の語は本文に出てこない。
- 解釈通知・運営指導マニュアル・確認文書:研修の「実施内容」の記録や「計画及び実績」を求める。確認テストを求める記載は確認した範囲に見当たらない。
- 虐待の防止の措置:運営基準が求めるのは、委員会の開催・指針の整備・研修・担当者の配置の4つ。確認テストは入っていない。
根拠①:運営基準(省令)が定める研修は「機会の確保」と「定期的な実施」
2026年10月26日に e-Gov 法令検索で確認した訪問介護の基準(平成11年厚生省令第37号)では、研修に関する規定は次の形です。第30条第3項は「訪問介護員等の資質の向上のために、その研修の機会を確保しなければならない」。第30条の2第2項は、業務継続計画について訪問介護員等に「周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施しなければならない」。第31条第3項第3号は、感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練を定期的に実施すること。第37条の2は、虐待の防止のための研修を定期的に実施することを、委員会・指針・担当者の配置とあわせて定めています。
特養の基準(平成11年厚生省令第39号)第24条第3項も、従業者に対し「資質の向上のための研修の機会を確保しなければならない」とし、そのうえで全ての従業者(資格等で除かれる者を除く)に認知症介護に係る基礎的な研修を受講させるために必要な措置を講じることを求めています。地域密着型サービスの基準(平成18年厚生労働省令第34号)にも、サービス種別ごとに同趣旨の規定があります。条番号はサービス種別で異なるため、お使いのサービスの基準で確認してください。
いずれも、求めているのは「機会を確保すること」「定期的に実施すること」で、受講者に試験を課すことや点数を取らせることは書かれていません。確認テストを行うかどうか、どう作るかは、省令の上では事業所の工夫に委ねられています。
根拠②:解釈通知と運営指導は「実施内容」「計画と実績」を見る
解釈通知は、虐待の防止・感染症の予防及びまん延の防止・事故発生の防止・身体的拘束等の適正化の研修について「研修の実施内容についても記録することが必要である」と定めています(業務継続計画の研修は「記録すること」)。記録を求めているのは研修の実施内容で、理解度の結果ではありません。この点は、姉妹記事「介護の研修記録の書き方」で原文とあわせて整理しています。
運営指導マニュアル(令和6年7月改訂)の別添「確認項目及び確認文書」は、訪問介護で勤務体制の確保等・業務継続計画・虐待の防止について「研修の計画及び実績がわかるもの」、感染症について「研修及び訓練の実施状況・結果がわかるもの」を挙げています。施設では身体的拘束等の適正化の研修について「研修の開催状況及び結果がわかるもの」も挙がっています。182ページある別添の本文に、確認テストや理解度に当たる語はありませんでした。
別添の冒頭には、確認文書として例示されていても運営基準に明記されていないものは、提出がなくても基準違反にはならないという注意書きがあります。確認テストの結果は、「結果がわかるもの」を説明するときに事業所の判断で添える資料、と考えるのが安全です。
根拠③:処遇改善加算の「能力評価」は個別面談等が例。確認テストは求められていない
介護職員等処遇改善加算(令和8年度分)の通知(令和8年3月13日 老発0313第6号)は、キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等)として、資質向上の目標と具体的な計画を作り、研修の実施または研修の機会の確保をしていることを求めています。計画に盛り込む事項として挙がっているのは、a「資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導等(OJT、OFF-JT等)を実施するとともに、介護職員の能力評価を行うこと」またはb「資格取得のための支援」です。
同じ最新情報(Vol.1479)に収められたQ&A(第1版)の問4-5は、この「能力評価」を、個別面談等を通して、職員の自己評価に対し先輩職員・サービス担当責任者・ユニットリーダー・管理者等が評価を行う手法などが考えられるとし、こうした機会を適切に設けていれば、必ずしも全ての職員に対して評価を行う必要はないとしています。確認テストの得点で能力評価をすることを求める記載も、禁じる記載も、通知とQ&Aの中には見当たりません。研修後の確認テストと、加算の要件にある能力評価は、別の話として整理しておくと混乱しません。要件は加算の区分や対象サービスで変わるため、算定している区分の要件は通知で確認してください。
国の資料にある「理解を確かめる方法」:テスト・アンケート・実践の確認
国の資料には、理解や成果を確かめる方法の例がいくつか出てきます。いずれも義務ではなく、参考として使えるものです。
- 虐待防止研修プログラム(令和2年度 厚生労働省 老人保健健康増進等事業・MS&ADインターリスク総研):動画を見る個人学習(全18テーマ、1回の研修で見るのは12本)と、事例演習の2段階。動画ごとの確認テストは「動画視聴を確認する目的」で、受講管理に役立てるものとされています。解答の返し方は「施設で実施しやすい方法」でよいとされ、例は、動画ごとに提出・採点して解説とともに返却する方法などです。試行ではeラーニング上で、誤答した場合に再度実施できるようにしました。プログラムは、高齢者虐待防止法第20条、平成30年度の身体拘束禁止規定、令和3年度の虐待防止規定で求められる研修を満たすことを想定して作られています。
- 感染対策の手引き(第3版・令和5年9月):職場内研修の工夫の例として、研修後に受講者へアンケートをしたり、日常のケア場面での実践状況を確認したりして研修の成果を把握し、次の研修計画に役立てている、と書かれています(42ページ)。
- 身体拘束廃止・防止の手引き(令和7年3月):実践事例として、新人研修のあと、理念に沿ったケアができているかを入社1か月後と定期的にチェックシートで確認している事例が載っています(9ページ)。
- 市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と養護者支援について(令和8年3月改訂):施設への指導内容例と改善計画例(122ページ)に、職員の理解度を内部監査で確認して学習会を開く、研修受講者のアンケートで理解度を評価し、低い内容は再度研修する、という書き方があります。行政が示す改善計画の一例で、通常の研修に義務づけるものではありません。
国の資料から読み取れること:確認テストの第一の役目は「受講の確認」
虐待防止研修プログラムの報告書は、各動画の視聴後に確認テストを設けた理由を、学習者が自分のペースで進められるため受講漏れが出ないように、研修担当者がテストの提出を課して学習者が確実に動画を視聴したかを管理できるようにするため、と説明しています。つまり国の例でも、確認テストの第一の役目は、点数で職員を選ぶことではなく、「受けたこと」と「つまずいた所」を確かめることです。
ほかの資料も、確かめた結果を次の研修計画や再度の説明に生かす、という使い方で一致しています。運営指導マニュアルも、行政が行う集団指導について、記名式アンケート等で習熟度合いを確認し、習熟度が低い内容は重ねて周知することを挙げています(16〜17ページ)。確認テストは「やりっぱなしにしない」ための道具として設計するのが、資料の方向に沿った使い方です。なお、感染症・自然災害の業務継続ガイドラインと身体拘束の手引きには、研修の理解度をテストで確かめる記載は見当たりません。
作り方①:まず目的を決める(受講確認・理解の確認・実践の確認)
作る前に、何を確かめたいのかを絞ります。目的が曖昧だと、暗記の試験や、全員満点で何も分からないテストになります。目的は大きく3つに分けられます。
- 受講の確認:研修を受けたことと、要点が伝わったことを確かめる。易しめの設問で全員が解ける前提でよく、記録の裏付けと欠席者の把握が主目的。
- 理解の確認:法令や手順を正しく理解したかを確かめる。誤解しやすい点(通報の義務、身体拘束の要件など)を狙い、つまずいた設問を次の研修に生かす。
- 実践の確認:自事業所の現場で判断できるかを確かめる。場面を想定した設問や、指針の置き場所・連絡先を問う設問を入れる。現場での観察やチェックシートで確かめる方法もある。
作り方②:出題の型の選び方(正誤・選択・事例・記述)
出題の型は、目的に合わせて組み合わせます。法定研修では、受講者の経験や職種がそろっていないことが多く、誰でも同じ条件で答えられて採点に手間がかからない形が向いています。
- 正誤(○×):定義や基本ルールの確認に向く。当て推量でも半分は当たるため、重要な論点は選択式と併用する。
- 選択式(三択〜四択):当て推量を減らせる。誤りの選択肢には「よくある誤解」を入れると、つまずきが見える。本サイトの研修キットの確認テストは三択です。
- 事例(場面)選択:「この場面でまず何をするか」を選ばせる。暗記ではなく判断を見られる。事例は、短く、実際の現場にありそうな場面にする。
- 事業所固有の設問:「当事業所の相談窓口はどこか」「指針はどこに置いてあるか」など。レジュメの暗記では答えられず、現場への落とし込みを確かめられる。答えは事業所ごとに決める。
- 記述式:考えを引き出せるが、採点の負担が大きく基準もぶれやすい。感想や気づきを書く欄として添える程度が現実的。
作り方③:設問数・時間・合格の目安・再受講(数字は目安で、根拠のある基準ではない)
設問数・所要時間・合格点について、法令・通知・運営指導マニュアルには定めがありません。以下は実務上の目安で、国が示した基準ではありません。研修時間とのバランスで決めてください。
- 設問数:30分程度の研修なら10問前後。主要な論点を一通り確認でき、研修の時間を圧迫しにくい分量として、本サイトの研修キットも10問にしています。国の虐待防止研修プログラムは動画(テーマ)ごとに確認テストを付ける作りです。研修をテーマごとに分けて行う場合は、研修ごとに少数の設問を付ける考え方もあります。
- 所要時間:1問1分程度を見込み、10問で10分前後。研修の終わりに同じ場で解き、その場で回収すると、誰が受けたかの管理が簡単です。
- 合格の目安:たとえば8割(10問中8問)を目安にすることもできますが、これは一例で、法令上の基準ではありません。合格・不合格で職員を分けるより、点数が低かった設問を確認して次に生かすための目安と考えるとよいでしょう。
- 再受講:基準に届かなかった場合は、解説を読み直してもらい、日を改めて再回答してもらう形が現実的。国の虐待防止研修プログラムの試行でも、誤答した場合に再度実施できるようにした例があります。再回答の日付も実施記録に残します。
- 欠席者・新規採用者:後日、同じ資料と同じテストで実施する。実施日がずれる場合は、その旨を実施記録に書く。
点数の扱い:研修の結果を評価の道具にしない(事業所の運用上の助言)
確認テストの点数を人事評価や賃金に直結させるかどうかは、法令に定めがなく、事業所の判断です。当サイトとしては、研修の確認テストの点数を人事考課に使うことはおすすめしません。点数が不利益に使われると分かれば、正直に答えにくくなり、理解の実態が見えなくなるからです。確認テストは、できていない所に気づいて次に生かすための道具として運用するほうが、研修の目的に合います。
処遇改善加算の「能力評価」は、前述のとおり個別面談等を通して行う手法が例示されており、確認テストの点数を使う必要があるとは読み取れません。能力評価は研修のテストとは別に設計し、研修の確認テストは理解の把握に使う、と分けると運用が楽になります。
出題例①:虐待防止・身体拘束(三択・正答と解説つき)
以下は、一次資料の原文で確かめた事実だけを使った出題例です。研修の内容や事業所の指針に合わせて作り替えてお使いください。
【虐待防止】問:自分が働く施設で、同僚が利用者に虐待をしているように思われる場面を見た。法律上の扱いとして正しいものはどれか。(ア)確証が得られるまでは、誰にも伝えず様子を見る。(イ)虐待を受けたと思われる高齢者を発見したら、速やかに市町村に通報しなければならない。(ウ)通報するかどうかは、施設長が決める。 正答:イ。解説:高齢者虐待防止法第21条第1項は、養介護施設従事者等が自分の働く施設・事業所で虐待を「受けたと思われる」高齢者を発見した場合、速やかに市町村へ通報することを義務としています。確証までは求めていません。同条第7項は、通報をしたことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いを受けないと定めています。
【虐待防止・事業所固有】問:当事業所で、虐待が疑われる場面に気づいたときの相談先(担当者名・連絡方法)はどこか。 正答・解説:事業所ごとに作成する(虐待の防止のための指針や担当者の配置の内容に合わせる)。暗記では答えられない設問を1問入れておくと、現場への落とし込みを確かめられます。
【身体拘束】問:やむを得ず身体拘束を行う「緊急やむを得ない場合」に、すべて満たすことが求められる3つの要件の組み合わせはどれか。(ア)切迫性・非代替性・一時性。(イ)緊急性・経済性・家族の要望。(ウ)安全性・利便性・人手不足への対応。 正答:ア。解説:身体拘束廃止・防止の手引き(令和7年3月)は、切迫性、非代替性、一時性をすべて満たす状態であることを、本人・家族、関係者全員で検討・確認し、記録しておくことが求められるとしています。人手不足や利便性は要件に入りません。
出題例②:感染症・業務継続計画・事故防止・ハラスメント
【感染症】問:標準予防策(スタンダード・プリコーション)の考え方として正しいものはどれか。(ア)感染症と診断された利用者のものだけを感染性があるとみなして扱う。(イ)感染症の有無にかかわらず、血液・体液・分泌物(汗を除く)・排泄物・損傷した皮膚・粘膜などは感染の可能性があるとみなして対応する。(ウ)目に見える汚れがあるときだけ手袋をする。 正答:イ。解説:厚生労働省の介護現場における感染対策の手引き(第3版)は、感染症の有無に関わらず、すべての人の血液、体液、汗を除く分泌物、排泄物、損傷した皮膚、粘膜等の湿性生体物質を、感染の可能性があるとみなして対応する方法を標準予防策としています。
【業務継続計画】問:業務継続計画(BCP)に関して、運営基準が事業者に求めていることとして正しいものはどれか。(ア)計画を作れば、職員への研修や訓練は不要である。(イ)計画を職員に周知し、必要な研修及び訓練を定期的に実施する。(ウ)研修は新規採用時の1回だけ行えばよい。 正答:イ。解説:訪問介護の基準第30条の2第2項は、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施することを求めています。計画は感染症と非常災害の両方を対象にします。回数はサービス種別の解釈通知で確認してください。
【事故防止】問:ヒヤリハットの報告をためらう職員が多い事業所に対して、運営指導マニュアルが示している指導の方向はどれか。(ア)報告しなかった職員を厳しく注意する。(イ)報告を行った方が評価されるような、職員にインセンティブが働く仕組みをつくる。(ウ)報告は管理者だけが行うことにする。 正答:イ。解説:運営指導マニュアルは、ヒヤリハットの仕組みがあっても報告をためらう従業者が多い等、有効に機能していない場合は、報告を行った方が評価される仕組みづくりを行うよう指導する、としています。
【ハラスメント】問:訪問介護の運営基準が事業者に求めている、職場のハラスメントへの対応として正しいものはどれか。(ア)被害の申し出があってから、はじめて対応を考えればよい。(イ)就業環境が害されることを防止するため、方針の明確化など必要な措置を講じる。(ウ)上司から部下への言動は、業務上の指導であれば、必要な範囲を超えていても対象外である。 正答:イ。解説:第30条第4項は、職場で行われる性的な言動や優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより就業環境が害されることを防止するため、方針の明確化等の必要な措置を講じることを事業者に求めています。上司の言動も、必要かつ相当な範囲を超えれば対象になります。
採点と記録:実施記録に何を残すか
確認テストを行ったら、その場で回収して採点し、結果を実施記録に添えます。後日まとめて採点すると、誰が受けたか、誰が未受験かの管理が煩雑になります。運営指導の確認文書は「計画及び実績」「実施状況・結果」ですので、記録は次の項目から答えられる形にしておくと、説明がしやすくなります。次は国が定めた項目ではなく、実務の一例です。
- 実施日・研修名・使用した確認テストの名前と版(レジュメを改訂したときに、どの版で行ったかが分かるように)。
- 受験者数(出席簿の参加者と一致しているか)と、平均点または正答率。
- つまずいた設問と、その場で行った再説明(誤答が多かった設問は、次回のテーマや説明の見直しに回す)。
- 欠席者・基準に届かなかった人へのフォロー(後日の再受験の日付、資料の再配布)。
- 答案(回収した用紙)またはその集計。個人別の点数を残すか、平均点だけにするかは事業所の判断。
答案の保管と個人情報:氏名つきの点数は職員の個人データ
氏名の入った答案や個人別の点数は、職員の個人情報にあたります。保管場所を決め、閲覧できる人を限り、運営指導で説明に使う範囲を超えて広げないようにしてください。点数を掲示したり、職員同士で見せ合ったりしないことも大切です。個人別の点数を残す必要が特にない場合は、平均点と正答率だけを実施記録に書き、答案は一定期間後に廃棄する運用もあります。
保存期間は、研修の記録と同じく、国が定めた年限は今回確認した範囲に見当たりません。運営指導では原則として前年度から直近までの実績が確認されるため(運営指導マニュアル)、少なくとも前年度と今年度の分はすぐ出せるようにし、年限は指定権者(都道府県・市町村)の定めを確認して決めてください。紙でも電子データでも構いません(居宅基準第217条第1項、特養の基準第50条第1項)。
よくある失敗
確認テストでよくある失敗は、次のとおりです。共通の原因は、確認テストを「実施の形だけ整える」ものにしてしまうことです。
- 暗記テストになる:レジュメの文言をそのまま問うだけでは判断力は確かめられない。事例と事業所固有の設問を混ぜる。
- 全員満点か全員不合格:易しすぎる、または研修で扱っていない所から出している。研修内容と設問を対応させる。
- 解答・解説を返さない:誤答の理由が分からないまま終わる。解説には、答えがレジュメのどこに書かれているかを示す。
- 回収せず記録に残らない:実施したのに、運営指導で示せない。実施記録に添え、レジュメ・出席簿とあわせて保管する。
- 古い設問のまま使う:法令や通知の改定を反映していない。レジュメを見直したら設問と解説も同時に確認する。
設問の見直しのタイミング
確認テストは一度作って終わりではありません。法令・通知・介護報酬は改定されるため、レジュメを直したときは、対応する設問と解答・解説も古い内容のままにならないよう、あわせて確認します。誤答が多かった設問も、設問自体が分かりにくくないかを見直す機会になります。
完成した確認テストは研修キットで無料で表示・印刷できます
本サイトの研修キットには、テーマ別(虐待防止・身体的拘束等の適正化・感染症対策・業務継続計画・ハラスメント・事故防止・倫理及び法令遵守・個人情報保護・褥瘡予防・看取り)に、確認テスト10問(三択・解答と解説つき)が入っています。約30分のレジュメ、実施記録様式・出席簿とあわせて、登録不要・無料で画面表示と印刷(PDF保存)ができます。入力内容はお使いのブラウザの中にだけ保存され、外部には送信されません。認知症介護基礎研修だけは受講案内と受講記録の様式で、確認テストはありません。
編集できるWord・Excelで届く有料版もあります。キットを使うかどうかは任意で、この記事の考え方で自事業所のテストを作ることもできます。法令・介護報酬は改定されます(本記事は2026年10月時点)。最終的な取り扱いは指定権者(都道府県・市区町村)へご確認ください。
この記事で確認した一次資料
本文の条番号・引用した文言・「語が出てこない」という確認は、次の一次資料の原文を2026年10月26日に確認したものです(リンクは記事末尾の「出典(一次資料)」)。確認できなかった事項は書いていません。
- 省令:平成11年厚生省令第37号(第30条・第30条の2・第31条・第37条の2・第217条)、同第39号(第24条・第50条)、平成18年厚生労働省令第34号(研修の機会の確保)、高齢者虐待防止法第21条(e-Gov 法令検索)。
- 解釈通知:介護保険最新情報 Vol.934(令和3年度改正)、老企第25号の令和6年度改正の新旧対照表、老企第43号(厚生労働省 法令等データベース)。
- 運営指導:介護保険施設等運営指導マニュアル(令和6年7月改訂)とその別添「確認項目及び確認文書」。
- 処遇改善加算:介護保険最新情報 Vol.1479(令和8年度分の基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の通知と、Q&A 第1版)。
- 国の資料:虐待防止研修プログラム(令和2年度 老人保健健康増進等事業)とその報告書、介護現場における感染対策の手引き(第3版)、身体拘束廃止・防止の手引き(令和7年3月)、高齢者虐待への対応と養護者支援について(令和8年3月改訂)、業務継続ガイドライン。
この記事を書いたチームは、note でも介護の仕事で考えたことを書いています。note をフォローする
出典(一次資料)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)
- 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)
- 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号)
- 介護保険最新情報 Vol.934(令和3年度改定・解釈通知改正)
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(老企第25号)令和6年度改正の新旧対照表(別紙10・抄)
- 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」(令和6年7月改訂)
- 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」別添 確認項目及び確認文書(令和6年7月改訂・PDF)
- 厚生労働省老健局「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」(令和8年3月13日 老発0313第6号)及び「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」(介護保険最新情報 Vol.1479・PDF・2026年10月26日確認)
- MS&ADインターリスク総研(令和2年度 厚生労働省 老人保健健康増進等事業「介護施設における効果的な虐待防止研修に関する調査研究」)「介護施設・事業所における虐待防止研修 プログラムの使い方」(令和3年3月・PDF・2026年10月26日確認)
- MS&ADインターリスク総研(令和2年度 厚生労働省 老人保健健康増進等事業)「介護施設における効果的な虐待防止研修に関する調査研究事業 報告書」(PDF・2026年10月26日確認)
- 厚生労働省老健局「介護現場における感染対策の手引き(第3版)」(令和5年9月・PDF)
- 厚生労働省老健局「介護施設・事業所等で働く方々への身体拘束廃止・防止の手引き」(令和7年3月・PDF)
- 厚生労働省「市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と養護者支援について」(令和8年3月改訂)第Ⅲ章 養介護施設従事者等による虐待への対応(PDF)
- 厚生労働省「介護施設・事業所における感染症発生時の業務継続ガイドライン」(第2版・令和6年3月・PDF)
- 厚生労働省「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」(第1.1版・令和6年3月・PDF)
- 厚生労働省 法令等データベース「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について」(平成12年3月17日 老企第43号)=事故発生の防止のための従業者に対する研修(現行の第4の37⑷)の本文
【免責事項】本キットは研修実施の参考資料です。法令・運営基準・介護報酬の内容は改定されることがあります。実際の運用にあたっての最終確認は、指定権者(都道府県・市区町村等の自治体)へのご確認をおすすめします。本キットの利用により生じた損害について、当社の損害賠償責任は、故意・重過失を除き購入代金の額を上限とします。