運営指導で研修はどう確認される?確認文書・自治体の指摘例・準備の手順|介護事業所向け(2026年版)
更新日:2026-10-26・約19分で読めます
運営指導(旧・実地指導)で研修について見られるのは、厚生労働省の運営指導マニュアル別添が挙げる「研修の計画及び実績がわかるもの」などの確認文書です。一方、研修の不備の「指摘の多さ」を集計した国の資料は、確認した範囲に見当たりませんでした。そこで、確認文書の一覧、自治体(福井市・岐阜県)が公表した令和6年度の指摘例、減算との関係を一次資料で確かめ、年間計画から当日の見せ方までの準備の手順に整理しました(2026年10月時点)。
まず結論:見られるのは「計画と実績が書類でわかるか」。指摘の多さを示す国の集計は見当たりません
運営指導(旧・実地指導)で研修について確認される書類は、厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」(令和6年7月改訂)の別添「確認項目及び確認文書」に書かれています。別添が掲げる39のサービス種別のすべてに、研修の機会の確保、業務継続計画(BCP)、感染症、虐待の防止の項目があり、研修の確認文書は「研修の計画及び実績がわかるもの」「研修及び訓練の実施状況・結果がわかるもの」「研修の開催状況及び結果がわかるもの」のどれかの言葉で並んでいます。
一方、「どの研修の不備がどれだけ指摘されているか」を国が集計して公表した資料は、2026年10月26日に確かめた範囲に見当たりませんでした。厚生労働省の令和6年度「指導・監査及び指定取消処分等の状況」は、運営指導を受けた事業所数と実施率、監査の件数、処分の事由などをまとめていますが、研修などの指摘内容別の集計は載っていません。この記事では「よくある指摘」を推測で書かず、国の確認文書と、自治体が公表している指摘例の範囲で整理します。
- 確認の中身:研修を「実施したか」だけでなく、計画と実績が書類でわかるかが問われます。感染症・虐待の防止・身体的拘束等の適正化は、委員会の開催状況と結果、指針も確認文書に並びます。
- 確認の方法:運営指導は面談方式で、管理者などが関係書類を見ながら説明します。立入検査ではなく、相手方の任意の協力で行う行政指導です。
- 確認の範囲:原則として、運営指導を行う年度の前年度から直近(おおむね1月程度前まで)の実績にかかる書類です。
運営指導の仕組み:指導と監査は別のもの
マニュアルは、介護保険制度の指導監督を、事業所を支援する「指導」と、不正等の疑いがある場合の「監査」に分けています。運営指導は指導の一つで、研修などの不備が見つかった時の扱いも、この区別で変わります。当日の流れや事前通知、準備書類の全体像は、関連記事の「運営指導の準備書類チェックリスト」にまとめています。
- 指導の性格:行政手続法第32条にもとづく行政指導で、市町村は介護保険法第23条、都道府県は第24条の権限で行います。立入検査の権限はなく、相手方の任意の協力によってのみ実現されるものとされています。
- 監査の性格:人員・運営基準違反、不正請求、高齢者虐待等が認められた場合やそのおそれがある場合に、介護保険法第76条等の権限で報告や物件の提示を求め、立ち入って検査し、事実関係を確認します。
- 頻度と実績:運営指導は原則として、指定又は許可の有効期間内に少なくとも1回以上行います。令和6年度に運営指導を受けた事業所は50,424で、自治体の所管事業所数に対する実施率は16.2%(前年度は16.1%)でした。
- 集団指導との関係:集団指導は年1回以上行われ、説明した内容は運営指導の確認のポイントにもなります。マニュアルは、集団指導に参加しない事業所などには、優先的に運営指導を行うよう計画しましょうと、自治体向けに書いています。
- 監査に切り替わる例:マニュアルは、確認文書の不備などにより確認項目が確認できない場合や、虚偽の報告・答弁が疑われる場合を挙げています。保存すべき文書がなく、前年度より過去の状況を確認せざるを得ない場合も、監査を実施する必要があるとしています。
研修で見られる確認文書:サービス類型ごとに並ぶもの
別添の項目名と文書名を、原文の言葉のまま類型別に並べました。別添の冒頭には、複数の文書が例示されていてもその1つで確認できれば複数は求めないこと、運営基準に明記されていない例示は提出がなくても基準違反にはならないことが書かれています。マニュアル本文は、確認文書以外の文書は原則求めないとしつつ、確認文書で確認項目が確認できない場合は、別の文書の提示を求められるとしています。
- ほとんどの種別に共通する4項目:①勤務体制の確保等=「研修の計画及び実績がわかるもの」と「職場におけるハラスメントによる就業環境悪化防止のための方針」(勤務体制一覧表や雇用の形態がわかるものも並ぶ)。②業務継続計画の策定等=「業務継続計画」「研修の計画及び実績がわかるもの」「訓練の計画及び実績がわかるもの」。③感染症=委員会の「開催状況・結果がわかるもの」、指針、「研修及び訓練の実施状況・結果がわかるもの」。④虐待の防止=委員会の「開催状況及び結果がわかるもの」、指針、「研修の計画及び実績がわかるもの」、「担当者を置いていることがわかるもの」。
- 訪問介護・訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導:上の4項目が基本です。認知症介護基礎研修の項目は、これらの頁にはありません。居宅療養管理指導の頁には、業務継続計画と虐待の防止の欄に「令和9年4月1日より義務化」の注記があります。
- 訪問入浴介護:4項目に加えて、認知症介護基礎研修の「受講させるため必要な措置を講じているか」が確認項目に入ります。
- 通所介護・通所リハビリテーション・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護:4項目、認知症介護基礎研修の項目、非常災害対策の「避難・救出等訓練の実施状況がわかるもの」が並びます。
- 福祉用具貸与・特定福祉用具販売:4項目に加えて、「適切な研修の機会の確保並びに福祉用具専門相談員の知識及び技能の向上等」の項に「研修の計画及び実績がわかるもの」が並びます。
- 居宅介護支援:4項目です。感染症は「感染症の予防及びまん延防止のための措置」の項名で載っています。
- 短期入所生活介護・短期入所療養介護・特定施設入居者生活介護:4項目、認知症介護基礎研修、避難・救出等訓練に加えて、身体的拘束等の適正化の指針、検討委員会の「開催状況及び結果がわかるもの」、「研修の開催状況及び結果がわかるもの」が並びます。生産性向上のための委員会の「開催状況がわかるもの」は、「令和9年3月31日まで努力義務」の注記つきです。
- 介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院・地域密着型介護老人福祉施設:上に加えて、事故発生の防止の指針、委員会の「開催状況及び結果がわかるもの」、「研修の計画及び実績がわかるもの」、「担当者を置いていることがわかるもの」が並びます。
- 認知症対応型共同生活介護・小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護・地域密着型特定施設:短期入所系と同じ形の身体的拘束等の適正化、避難・救出等訓練、生産性向上の委員会が並び、運営推進会議の項もあります。認知症対応型共同生活介護・(看護)小規模多機能型居宅介護・認知症対応型通所介護の管理者の欄には「研修を修了したことがわかるもの」が並びます。
事前準備:自己点検の型
マニュアルは、運営指導の前に、事業所が自分で点検(自己点検)しておくことが望ましいとしています。少なくとも、確認項目及び確認文書の範囲のものは、事業所自身で点検すべきもので、業務管理体制の届出にある法令遵守責任者の指揮の下で行うことが期待されています。
事前提出資料や自己点検結果の提出を求めるかどうかは自治体によります。マニュアルは、自己点検シートの提出だけで済ませるのは書面だけで行う指導と変わらないとして、当日は確認文書を実際に見て、管理者等の話を聞くことが必要だとしています。厚生労働省が掲載している「各種加算等自己点検シート」は、加算等の算定を点検するための参考様式で、研修の確認文書を点検するものではありません。
研修まわりの点検は、確認文書の言葉と手元の書類を1対1で対応づける表を作ると進めやすくなります。次は当社の整理で、国が定めた様式ではありません。
- 表の列:確認項目/確認文書の言葉/手元の書類名/保管場所/直近の日付/担当者。研修・BCP・感染症・虐待の防止・身体的拘束等の適正化(対象の類型のみ)・事故発生の防止(施設のみ)・認知症介護基礎研修・ハラスメント方針を行にします。
- 計画:今年度の研修計画に、分野・予定月・対象者・新規採用時の扱いが入っているか。前年度の計画も出せるか。
- 実績:実施した回ごとに、実施記録・出席簿・使った資料がそろっているか。前年度から直近まで切れ目がないか。
- 委員会:開催日・出席者・検討結果・従業者への周知の方法が残っているか。感染症は施設系がおおむね3月に1回以上、それ以外はおおむね6月に1回以上、身体的拘束等の適正化は3月に1回以上です。
- 指針:最新の運営基準と解釈通知に合わせた項目になっているか。運営規程に「虐待の防止のための措置に関する事項」が入っているか(確認項目の運営規程に載っています)。
- 新規採用者:採用日と、入職時研修の受講日を対応させて残しているか。
当日の見せ方:計画、実績、周知の順に説明する
マニュアルによれば、運営指導は、関係者から関係書類を基に説明を求め、面談方式で行います。研修は主に「最低基準等運営体制指導」で、管理者などが各確認項目について確認文書を見ながら説明する形で確認されます。非常災害対策については、「非常災害に備え、どのような訓練を行っていますか」といった質問例や、災害対策訓練(火災年2回以上、地震、風水害など)を記録や文書から確認する例がマニュアルに示されています。
身体的拘束等の適正化の指針・委員会・研修は、別添では「介護の取扱方針」などの項(個別サービスの質に関する事項)に載っていて、身体的拘束等を行った場合の記録とあわせて確認されます。
- 説明の順:①年間の研修計画(予定と対象者)→②実施した回の実施記録・出席簿・使った資料→③委員会の議事録と従業者への周知→④新規採用者の受講日→⑤欠席者への対応、の順に出せるようにしておくと、確認文書の「計画」と「実績」を一続きで示せます(当社の整理)。
- 足りないものがある時:日付をさかのぼって作り直さず、今ある記録をそのまま出して、足りない点と今後の改善策を説明します。マニュアルは、虚偽の報告や答弁が疑われる場合を監査への切り替えの例に挙げています。
- 結果と指導の区分:当日の講評は必ず行うものではありません。結果は後日、特段の改善事項がない場合も通知されます。マニュアルの参考整理では、法令・基準等への違反は「文書指導」(期限を定めて改善報告)、違反が軽微な場合などは「口頭指導」(改善報告は不要)、違反はないが適正な運営のための「助言」に分かれ、運用は自治体で違いがあるとも書かれています。
- 改善報告の書き方:どのように改善したかを具体的に書き、すぐに改善できない場合も、いつまでにどうするのかを明確に示すよう求められます。受領の直後や次の運営指導で、実施されているかが確かめられることがあります。
自治体が公表した指摘例:福井市の令和6年度の「主な指摘事項」
福井市の「令和6年度 介護保険制度等に係る集団指導」の資料は、令和6年度に170事業所へ運営指導を行い、そのうち137事業所に指摘を行ったと書いています(文書指摘・口頭指摘を含む)。そのうえで、「主な指摘事項」を、サービス共通の項目ごとに「指摘事項」と「改善のしかた」の形で載せています。項目ごとの指摘件数や順位は載っていないため、「多い」「少ない」は読み取れません。
研修・委員会・指針にかかわる項目だけを抜き出すと、次のとおりです。見出しは福井市の資料のものです。
- 認知症介護基礎研修:医療・福祉関係の資格のない従業者に、認知症介護基礎研修を受講させていない。
- ハラスメント:防止の方針がセクシャルハラスメントのみになっている。方針と相談窓口が従業者に周知されていない。
- 業務継続計画:策定されていない。必要な項目が記載されていない。従業者に周知徹底していない。研修の実施内容が記録されていない。
- 非常災害対策(訪問系サービスを除く):消火訓練及び避難訓練を年2回以上実施していない(福井市の資料は、消防法の義務と説明しています)。
- 衛生管理等(感染症):指針が整備されていない、項目に不備がある。感染対策委員会を必要な頻度で開催したことが確認できない。委員会の結果を従業者に周知していない。研修の実施内容が記録されていない。
- 虐待の防止:虐待防止委員会の結果を従業者に周知していない。指針が整備されていない、項目に不備がある。研修の実施内容が記録されていない。
- 身体拘束等適正化(施設・居住系、短期入所、多機能系):委員会が3か月に1回以上開催されていない(福井市の資料は、拘束の事例がなくても開催する必要があるとしています)。委員会の結果の周知、指針、研修(年2回以上と実施内容の記録)。
- 運営規程:虐待防止の措置に関する事項が記載されていない(令和6年4月から記載が必要になったと説明しています)。
この指摘例から言えること、言えないこと
岐阜県が公表している「令和6年度運営指導における主な指摘事項(共通事項)」(可茂県事務所の分)にも、従業者に認知症介護に係る基礎的な研修を受講させるために必要な措置を講じること、業務継続計画に係る研修及び訓練を定期的に実施すること、虐待防止検討委員会で職員研修の内容なども検討することといった項目が並んでいます。
ただし、これは2つの自治体が公表した例で、全国の傾向や研修の不備の多さを示すものではありません。事業所の所在地の自治体が公表している指摘事項や集団指導の資料は、確認する価値があります。マニュアルも、集団指導の内容の例に「運営指導における指摘事項の解説」を挙げています。
- 言えること:福井市と岐阜県の資料では、研修そのものよりも、実施内容の記録、委員会の開催や結果の周知、指針の項目といった「書類で確かめられるか」にかかわる項目が目立ちます(当社の読み方)。
- 言えること:福井市の資料は、BCPや感染症の研修・訓練を、年1回以上(施設・居住系は年2回以上)と新規採用時に実施し、実施内容を記録するよう書いています。国の解釈通知は、新規採用時の研修を「必ず」とする分野と「望ましい」とする分野があります。自治体の言い方は、国の通知より強い場合があります。
- 言えないこと:どの項目が多いか、事業所の何割で指摘されているか、全国で同じ傾向か。
年間計画と記録の揃え方:頻度と新規採用時の書き分け
運営指導で見られる「計画」と「実績」は、年度のはじめに頻度を一覧にすると揃えやすくなります。回数や「必ず」「望ましい」の書き分けは解釈通知にあるため、お使いのサービスの通知で確認してください。国の通知とQ&Aで確かめた主なものは、次のとおりです。
- 虐待の防止の研修:年2回以上は特定施設・認知症対応型共同生活介護・地域密着型特定施設・地域密着型介護老人福祉施設・介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院。年1回以上は訪問系・通所系・短期入所系・小規模多機能型・看護小規模多機能型・居宅介護支援など(Q&A Vol.1345)。新規採用時には「必ず」実施することが重要とされています。
- 身体的拘束等の適正化の研修(施設系・居住系・短期入所系・多機能系):年2回以上と、新規採用時には「必ず」実施することが重要とされています。委員会は3月に1回以上です。
- 感染症の研修・訓練:年2回以上の類型のうち、施設系(特養など)は新規採用時に「必ず」感染対策研修を実施することが重要、居住系(特定施設・グループホーム)は「実施すること」とされています。年1回以上の類型は、新規採用時の実施は「望ましい」とされています。
- 業務継続計画の研修・訓練:年2回以上の類型は新規採用時に別に研修を「実施すること」、年1回以上の類型は「実施することが望ましい」とされています。
- 事故発生の防止の研修(介護保険施設):年2回以上と、新規採用時には「必ず」実施することが重要とされています。
- 回数の定めがないもの:ハラスメント対策や認知症介護基礎研修などは、確認した範囲では頻度の定めがありません。
記録に残すこと:実施内容、欠席者、委員会との紐づけ
国の解釈通知は、虐待の防止・感染症・身体的拘束等の適正化・事故発生の防止の研修について「研修の実施内容についても記録することが必要である」と、BCPの研修について「記録すること」と書いています。様式や記載項目を定めた規定、研修記録だけの保存年限を定めた規定は、確認した範囲にはありません。詳しくは関連記事「介護の研修記録の書き方」にまとめています。
- 実施記録:日時・場所・研修名と分野・講師・実施内容の要点・結果を1枚に。レジュメや資料の写しを添えます(項目は当社の整理)。
- 出席簿と欠席者:参加者を出席簿で残し、欠席者に後日資料を配った、動画を見てもらったなどの対応をしたら、日付と方法を追記しておくと説明しやすくなります。欠席者への対応を定めた規定は、確認した範囲には見当たりません。
- 委員会との紐づけ:研修の内容を決める場として委員会の議事録を使う、研修の結果を次の委員会に報告する、のように記録をつなげておくと、「計画」「実績」「周知」の流れを説明できます(当社の整理)。虐待防止委員会は、研修の内容も検討する事項に含まれます。
- 合同で実施した場合:法人内の複数事業所で合同開催した場合は、自事業所の従事者が参加したことと、実施した内容が記録でわかるようにしておきます(Q&A Vol.1 問170)。
- 確認テスト:確認文書としては挙がっていません。理解度の記録として添えるかは、事業所が決めます。
減算との関係:運営指導で見つかった時にどうなるか
研修などの不備が、報酬に直結するかどうかは分野で違います。マニュアルは、虐待防止の措置を講じた記録が確認できなければ、報酬請求上の措置として高齢者虐待防止措置未実施減算が適用されると説明しています。減算の詳しい一覧は、関連記事「研修・指針をしないとどうなる?介護の減算と遡り一覧」にあります。
- 虐待の防止:委員会・指針・研修・担当者のどれか一つでも欠けると、所定単位数の1%の減算です。虐待が起きていなくても対象です(Q&A 問167)。見つかった日の属する月が「事実が生じた月」で、過去にさかのぼって減算することはできません(問168)。
- 身体的拘束等の適正化(施設系・居住系・短期入所系・多機能系):記録・委員会・指針・研修のどれかが欠けると、身体拘束廃止未実施減算です。拘束をしていなくても対象で、見つかった日の属する月が「事実が生じた月」です(Vol.1345 問1・問2)。
- 業務継続計画:感染症か災害のいずれか又は両方の計画が未策定で、計画に従った措置も講じていない場合に、BCP未策定減算(施設・居住系は3%、その他は1%)です。研修・訓練の有無は減算の要件ではありません(問164)が、運営基準の義務です。減算は「基準を満たさない事実が生じた時点」までさかのぼります(問166)。
- 事故発生の防止(介護保険施設):委員会や研修などの措置が欠けると、安全管理体制未実施減算(1日5単位)です。
- 減算のない研修:感染症の研修・訓練、ハラスメント対策、認知症介護基礎研修は、確認した国の資料の範囲では減算が定められていません。ただし運営基準の義務なので、文書指導などで改善を求められます。
- 返還との関係:マニュアルは、運営基準の規定に違反があったことだけでは、基本報酬の返還や過誤調整を求めることはできないとしています(例:サービス提供記録がないという事実だけでは返還の根拠にならない)。一方、減算の規定があるのに減算せずに請求していた場合は、不正請求にあたる可能性があるとも書いています。
国が自治体に求めていること:身体的拘束等の適正化とBCP
令和6年度の報酬改定の資料は、身体的拘束等の適正化について、指定権者(自治体)に、集団指導等の機会に実施状況を把握し、未実施又は集団指導等に不参加の事業者に対する集中的な指導を行うなど、取組の強化を求めるとしています。業務継続計画についても、計画を策定済みの施設・事業所に、地域の特性に合わせた実効的な内容となるよう、指定権者による継続的な指導を求めるとしています。計画がある、というだけでなく、内容が使えるものかが問われる方向です。
よくある失敗:運営指導の前に見直したいこと
次は、確認文書の言葉と自治体の指摘例から起こりやすいものとして整理したもので、発生件数などの統計ではありません。
- 実績の記録だけで、計画がない:確認文書は「計画及び実績」です。年度の研修計画も出せるようにします。
- 「実施した」と言えるが、内容の記録がない:解釈通知は実施内容の記録を求めています。レジュメの写しと要点を添えます。
- 委員会は開いたが、結果の周知の記録がない:虐待防止・感染症・身体的拘束等の適正化は、結果を従業者に周知徹底することも条文にあります。誰にいつどう伝えたかを残します。
- 指針が古いまま、項目に不備がある:福井市の例でも、指針の項目の不備が挙がっています。改正があったら指針も見直します。
- 合同開催で、自事業所の参加が分からない:福井市の資料は、併設病院や事業所等と合同で実施した場合も、当該事業所として委員会を開催したことがわかるよう記録を整備し、周知するよう書いています。研修・訓練も同様です。
- 対象の取り違え:認知症介護基礎研修や身体的拘束等の委員会が要る類型と要らない類型を取り違える、などです。別添のご自身の種別の頁で確認します。
- 運営規程に虐待の防止の措置の記載がない:確認項目に運営規程の記載事項があります。研修だけでなく、規程も見直します。
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法令・介護報酬・運営指導の運用は改定や自治体差があります(本記事は2026年10月時点)。最終的な取り扱いは、指定権者(都道府県・市区町村等の自治体)へご確認ください。
この記事で確認した一次資料
2026年10月26日に、下の「出典」に挙げた資料を取得し、該当箇所を確かめました。運営指導マニュアル(令和6年7月改訂)の別添「確認項目及び確認文書」は、39のサービス種別の頁を機械で読み取って項目を突き合わせたうえで、本文を読んで確かめました。法令・通知は改正されます。最終的な取扱いは指定権者(都道府県・市町村)にご確認ください。
- 国の資料:運営指導マニュアルと別添、令和6年度の指導・監査及び指定取消処分等の状況(研修などの指摘内容別の集計は載っていないことを確認)、解釈通知、Q&A(Vol.1225・Vol.1345)、令和6年度報酬改定の改定事項。
- 自治体の公表例:福井市の令和6年度集団指導資料、岐阜県の令和6年度運営指導における主な指摘事項(共通事項)。
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出典(一次資料)
- 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」(令和6年7月改訂)(2026年10月26日確認)
- 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」別添 確認項目及び確認文書(令和6年7月改訂・PDF)(2026年10月26日確認)
- 厚生労働省「令和6年度における指導・監査及び指定取消処分等の状況」(介護サービス事業所等に対する指導・監査結果の状況ほか・PDF)(2026年10月26日確認)
- 福井市「令和6年度 介護保険制度等に係る集団指導」1.運営指導における指摘事項等について(令和6年度の運営指導の実施状況と主な指摘事項・PDF)(2026年10月26日確認)
- 岐阜県「令和6年度運営指導における主な指摘事項(共通事項)」(可茂県事務所の分・PDF)(2026年10月26日確認)
- 厚生労働省「各種加算等自己点検シートについて」(介護保険施設等運営指導マニュアル別添2に当たる参考様式)(2026年10月26日確認)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(PDF)(2026年10月26日確認)
- 介護保険最新情報 Vol.934(令和3年度改定・解釈通知改正)(2026年10月26日確認)
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(老企第25号)令和6年度改正の新旧対照表(別紙10・抄)(2026年10月26日確認)
- 介護保険最新情報 Vol.1225(令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)・令和6年3月15日)(2026年10月26日確認)
- 介護保険最新情報 Vol.1345(令和6年度改定 Q&A)(2026年10月26日確認)
【免責事項】本キットは研修実施の参考資料です。法令・運営基準・介護報酬の内容は改定されることがあります。実際の運用にあたっての最終確認は、指定権者(都道府県・市区町村等の自治体)へのご確認をおすすめします。本キットの利用により生じた損害について、当社の損害賠償責任は、故意・重過失を除き購入代金の額を上限とします。