介護の研修記録の書き方 2026|実施記録に書く項目・保存期間・運営指導で見られる書類
更新日:2026-10-26・約11分で読めます
介護の法定研修は、解釈通知が「研修の実施内容についても記録することが必要である」と定め、運営指導では「研修の計画及び実績がわかるもの」などが確認文書になっています。一方で、記録の様式や記載項目、研修記録だけの保存年限を定めた国の規定は、今回確認した省令・解釈通知・運営指導マニュアルにはありません。原文の該当箇所と、確認文書に沿って記録をそろえる手順、保存の考え方を整理しました(2026年10月時点)。
この記事に関連する無料キット・一覧
研修キット(レジュメ・確認テスト・記録様式)
まず結論:求められるのは「実施内容」の記録。運営指導では「計画と実績」を見る
研修の記録について、国の資料がはっきり示していることは3つです。1つ目は、解釈通知が虐待の防止・感染症の予防及びまん延の防止・業務継続計画(BCP)・事故発生の防止・身体的拘束等の適正化の研修について、「研修の実施内容についても記録することが必要である」(BCPは「記録すること」)と書いていること。2つ目は、運営指導マニュアルの確認文書の一覧が、研修について「研修の計画及び実績がわかるもの」などを挙げていること。3つ目は、運営指導で確認する書類が、原則として運営指導を行う年度の前年度から直近までの実績とされていることです。
反対に、決まっていないこともあります。記録の様式・記載項目を定めた規定や、研修記録の保存年限を直接定めた規定は、今回確認した省令・解釈通知・マニュアルにはありません。省令の「二年間保存」の列挙にも、研修の記録は入っていません。様式は事業所で決めてよく、保存年限は指定権者(都道府県・市町村)の定めを確認する、というのが原文から言える範囲です。
- 記録が必要なもの:研修の実施内容(各サービスの解釈通知)。
- 運営指導で見られる書類:「研修の計画及び実績がわかるもの」(勤務体制の確保・BCP・虐待の防止・施設の事故発生の防止)、「研修及び訓練の実施状況・結果がわかるもの」(感染症)、「研修の開催状況及び結果がわかるもの」(施設の身体的拘束等の適正化)。
- 様式:国の定めは、確認した範囲には見当たりません。「何を・いつ・誰に・どう行ったか」が読み取れる形にします。
- 保存:省令の二年間保存の列挙に研修の記録は入っていません。運営指導の確認対象は前年度から直近までの実績です。
- 実施の場所:事業所内・施設内の研修で差し支えないとされています(虐待の防止・感染症・事故発生の防止など)。
根拠①:解釈通知の原文「研修の実施内容についても記録することが必要である」
研修の記録を直接求めているのは、運営基準の解釈通知です。訪問介護(居宅サービスの解釈通知=老企第25号)では、令和3年度の改正で次の記載が加わりました。令和6年度の改正の新旧対照表では、これらの部分は「略」(改正なし)となっています。
- 業務継続計画(BCP)の研修:「定期的(年1回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録すること。」
- 感染症の予防及びまん延の防止のための研修:「定期的な教育(年1回以上)を開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録することが必要である。」
- 虐待の防止のための研修:「定期的な研修(年1回以上)を実施するとともに、新規採用時には必ず虐待の防止のための研修を実施することが重要である。また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、事業所内での研修で差し支えない。」
施設の解釈通知にも同じ一文がある
特養(指定介護老人福祉施設の解釈通知=老企第43号)にも同じ形の一文があります。事故発生の防止の研修は「定期的な教育(年二回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず事故発生の防止の研修を実施することが重要である。また、研修の実施内容についても記録することが必要である」とされ、令和3年度・令和6年度の改正の新旧対照表ではいずれも「略」(改正なし)です。
ユニット型の身体的拘束等の適正化の研修も、令和6年度の改正後の文言で「定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず身体的拘束等の適正化の研修を実施することが重要である。また、研修の実施内容についても記録することが必要である」としています。
令和3年度改正の通知(介護保険最新情報 Vol.934)では、訪問介護以外の各サービスの項にも、この一文が繰り返し出てきます。回数や「必ず」「望ましい」の書き分けはサービスと分野で異なるため、お使いのサービスの解釈通知で該当する研修の項を確認してください。
根拠②:運営指導で確認される書類(確認文書)
運営指導マニュアル(令和6年7月改訂)の別添「確認項目及び確認文書」は、研修について次の書類を挙げています。訪問介護(101)の例です。
- 勤務体制の確保等(第30条):資質向上のために研修の機会を確保しているか →「研修の計画及び実績がわかるもの」。
- 業務継続計画の策定等(第30条の2):研修及び訓練を定期的に実施しているか →「研修の計画及び実績がわかるもの」「訓練の計画及び実績がわかるもの」。
- 衛生管理等(第31条):感染症の予防及びまん延防止のための研修及び訓練の定期実施 →「研修及び訓練の実施状況・結果がわかるもの」。
- 虐待の防止(第37条の2):虐待の防止のための研修の定期実施 →「虐待の防止のための研修の計画及び実績がわかるもの」。
施設で加わる書類と、確認文書の扱い
介護老人福祉施設(301)では、これに加えて、身体的拘束等の適正化の研修について「研修の開催状況及び結果がわかるもの」、事故発生の防止の研修について「研修の計画及び実績がわかるもの」が挙がっています。勤務体制の確保等では、認知症介護に係る基礎的な研修を受講させるための措置も確認項目になっています。
別添の冒頭には、確認文書の扱いについて2つの注意書きがあります。複数例示された書類のうち1つで目的が達成される場合は、複数を求める必要はないこと。例示された書類のうち運営基準に明記されていないものは、その提出がなくても基準違反にはならないことです。マニュアル本文も、確認項目以外は特段の事情がない限り確認せず、確認文書以外の文書は原則求めないとしています。ただし、確認文書では確認項目が確認できない場合は、ほかの文書の提示を求めることができるとしています。
様式は決まっていない:確認文書に答えられる項目をそろえる
研修記録の様式や記載項目を定めた規定は、今回確認した省令・解釈通知・運営指導マニュアルにはありません。そこで実務では、確認文書の言葉である「計画」「実績」「実施状況・結果」と、解釈通知の「実施内容」に、記録から答えられるようにしておくことが目安になります。次の項目はそのための一例で、国が定めた項目ではありません。
- 計画:年度の研修計画(研修名・分野・予定月・対象者・新規採用時の扱い)。
- 実施日時・場所(オンラインの場合はその旨)・講師(内部・外部の別)。
- 研修名と分野(例:虐待の防止/感染症の予防及びまん延の防止/業務継続計画)。
- 実施内容:使ったレジュメ・資料の名前と、扱った項目の要点。
- 参加者:出席簿(氏名・職種)と人数。欠席者がいれば、その人への対応。
- 結果:確認テストや質疑の内容、次回への課題。
全員が集まれない職場の記録
訪問介護の解釈通知は、BCPの研修について、登録訪問介護員等を含めた従業者に研修を行うこととし、「研修及び訓練の実施にあたっては、全ての従業者が参加できるようにすることが望ましい」としています。全員が一度に集まりにくい職場では、欠席者に後日どう伝えたか(資料の配布・動画の視聴・個別の説明など)と、その日付を記録に追記しておくと、計画と実績のずれを説明しやすくなります。
保存期間:省令の「二年間保存」に研修記録は入っていない
訪問介護の運営基準(平成11年厚生省令第37号)第39条第2項は、訪問介護計画、提供したサービスの具体的な内容等の記録、身体的拘束等の記録、市町村への通知に係る記録、苦情の内容等の記録、事故の状況等の記録の6つを挙げ、「その完結の日から二年間保存しなければならない」としています。特養の運営基準(平成11年厚生省令第39号)第37条第2項も同じ形で6つを挙げています。研修の記録は、どちらの列挙にも入っていません。同じ条の第1項は「従業者、設備、備品及び会計に関する諸記録を整備しておかなければならない」(特養は「従業者、設備及び会計」)としていますが、保存期間は書かれていません。
運営指導マニュアルは、文書等の保存年限について「2年から5年程度に定めている場合が多いと思いますが」と書いたうえで、運営指導では「運営指導を行う年度の前年度から直近(おおむね1月程度前まで)の実績に係るもの」を確認するとしています。保存すべき文書がない等の不明な点が見つかった場合は、それより過去の状況を確認せざるを得なくなり、監査を実施する必要がある、とも書いています。
研修記録を何年残すかは、指定権者(都道府県・市町村)が条例や規則で文書の保存年限を定めていないかを確認して決めてください。マニュアルの確認範囲から考えると、少なくとも前年度と今年度の計画・実績は、すぐに出せる状態にしておく必要があります。
実務の手順:年度初めから年度末まで
記録は研修が終わってからまとめて作るより、計画の段階から同じ綴りで管理すると、確認文書の「計画」と「実績」を1か所で示せます。流れの一例です。
- 年度初め:サービス類型ごとに必要な研修と回数を一覧にし、研修計画(予定月・対象者・新規採用時の扱い)を作る。
- 研修の前:レジュメ・資料、出席簿、確認テストを用意し、講師と実施方法(集合・オンライン・動画)を決める。
- 研修の当日:出席簿に参加者を記入してもらい、確認テストや質疑を行う。
- 研修の後:実施記録に日時・講師・内容の要点・参加者数・結果を書き、レジュメ・出席簿・確認テストと一緒に綴じる。欠席者への対応を決め、実施したら追記する。
- 新しい職員が入ったとき:採用日と、採用時に行う研修の受講日を一覧に記入する。
- 年度末:計画と実績を突き合わせ、未実施や回数の不足がないかを確認し、翌年度の計画に反映する。
研修をまとめて行った日の記録
訪問介護の解釈通知は、感染症の業務継続計画に係る研修について、感染症の予防及びまん延の防止のための研修と「一体的に実施することも差し支えない」としています。同じ日にまとめて行った場合は、記録の枚数に決まりはありませんが、両方の研修名とそれぞれの内容を書いておくと、確認文書の「業務継続計画の策定等」と「衛生管理等」のどちらにも対応させやすくなります。
紙でも電子データでもよい
運営基準には、省令で書面で作成・保存することが規定され又は想定されるものについて、書面に代えて電磁的記録で行うことができるとする規定があります(居宅基準第217条第1項、特養の基準第50条第1項)。運営指導マニュアルも、確認文書の共有方法として、オンライン会議システム等の機能を使った共有や「PDF 等の電子媒体による事前提出」などを想定しています。
電子データで残す場合は、研修名と実施日が分かるファイル名とフォルダの決まりを作り、出席簿は署名欄をスキャンするか、電子の出欠記録を残します。記録には職員の氏名が含まれるため、閲覧できる人を決めて管理してください。
記録様式と、無料の研修キット
このサイトの研修キット(虐待防止・感染症対策・事故防止など)では、読み上げ用レジュメ・確認テスト・実施記録様式・出席簿を無料で表示・印刷(PDF保存)できます。「義務研修一覧表」でサービス類型を選ぶと、必要な研修の一覧と、頻度に応じて月を配置した年間計画表も作れます(無料・登録なし。入力内容はお使いのブラウザの中にだけ保存されます)。
この記事で確認した一次資料
本文の条番号・引用した文言・確認文書の名称・保存と確認範囲の記載は、次の一次資料の原文で2026年10月26日に確認しました(リンクは記事末尾の「出典(一次資料)」)。法令・介護報酬は改定されます。最終的な取り扱いは指定権者(都道府県・市区町村)へご確認ください。
- 省令:平成11年厚生省令第37号 第30条・第39条・第217条、平成11年厚生省令第39号 第24条・第37条・第50条。
- 解釈通知:介護保険最新情報 Vol.934(令和3年度改正・老企第25号と老企第43号の新旧)、老企第25号・老企第43号の令和6年度改正の新旧対照表、老企第43号(厚生労働省 法令等データベース)。
- 運営指導:介護保険施設等運営指導マニュアル(令和6年7月改訂)とその別添「確認項目及び確認文書」。
この記事を書いたチームは、note でも介護の仕事で考えたことを書いています。note をフォローする
出典(一次資料)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)
- 介護保険最新情報 Vol.934(令和3年度改定・解釈通知改正)
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(老企第25号)令和6年度改正の新旧対照表(別紙10・抄)
- 厚生労働省 法令等データベース「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について」(平成12年3月17日 老企第43号)=事故発生の防止のための従業者に対する研修(現行の第4の37⑷)の本文
- 厚生労働省「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について」(老企第43号)令和6年度改正の新旧対照表(別紙14・抄)
- 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」(令和6年7月改訂)
- 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」別添 確認項目及び確認文書(令和6年7月改訂・PDF)
【免責事項】本キットは研修実施の参考資料です。法令・運営基準・介護報酬の内容は改定されることがあります。実際の運用にあたっての最終確認は、指定権者(都道府県・市区町村等の自治体)へのご確認をおすすめします。本キットの利用により生じた損害について、当社の損害賠償責任は、故意・重過失を除き購入代金の額を上限とします。