処遇改善加算のキャリアパス要件と研修計画の作り方|要件Ⅱ(資質向上の研修計画)に書くこと・法定研修との関係・記録の残し方(2026)
更新日:2026-11-04・約21分で読めます
介護職員等処遇改善加算のキャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等)は、職員と意見を交換しながら資質向上の目標と具体的な計画を作り、その計画に沿って研修を行う(又は研修の機会を確保する)こと、そして全ての職員に周知することを求めています。令和8年度分の国の通知(令和8年3月13日 老発0313第6号)では、加算Ⅳ以上のどの区分でもキャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系)とⅡが要件で、計画の様式や期間に国の決まりはありません。通知とQ&A(介護保険最新情報 Vol.1479)の原文をページ番号つきで確かめ、研修計画書に書くこと、運営基準の研修(法定研修)との関係、記録の残し方、年間計画の見本を整理しました(2026年11月時点)。加算の要件・様式・提出期限は年度と指定権者で変わります。最終的な適用は指定権者(都道府県・市区町村)にご確認ください。
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研修キット(レジュメ・確認テスト・記録様式)
まず結論:要件Ⅱは「目標・計画・研修・周知」の4点。計画の様式は自由で、裏づけの資料は2年間保存
キャリアパス要件Ⅱは、研修を何回行うかを定めた要件ではありません。令和8年度分の通知は、①介護職員の職務内容等を踏まえ、介護職員と意見を交換しながら、資質向上の目標と具体的な計画を作ること、②その計画に係る研修の実施又は研修の機会の確保をしていること、③これらを全ての介護職員に周知していること、を求めています(Vol.1479 のPDF 7〜8ページ。以下、ページはPDFの通し番号です)。
計画の中身は、a「研修機会の提供又は技術指導等(OJT、OFF-JT等)を実施するとともに、介護職員の能力評価を行うこと」か、b「資格取得のための支援」の少なくともどちらかです。Q&A(第1版)の問4-4は、資質向上のための計画に特に様式や基準等を設けておらず、計画期間の定めもないとしています(54ページ)。
- 区分との関係:加算Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳのどれを算定する場合も、キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱが要件です(別紙1 表2-2、21ページ)。
- 計画の様式:国の様式はありません。Q&A問4-4に研修計画の例(研修テーマ・対象者・4月〜3月の実施予定月)が載っています(54ページ)。
- 法定研修との関係:通知とQ&Aには、運営基準の研修を資質向上の計画に含めてよいか、含めてはいけないかの記載が見当たりません。扱いは指定権者に確認します。
- 記録:処遇改善計画書と実績報告書は、根拠資料と併せて2年間保存することとされています(14〜15ページ)。計画書の確認欄では、要件Ⅰ〜Ⅲの証明資料の例に「資質向上のための計画等」が挙がっています(27ページ)。
- 令和8年度の特例:令和8年度特例要件を満たす事業所に限り、令和9年3月末までに計画を作り研修等を行うと誓約すれば、申請時点から要件Ⅱを満たすものとして扱われます(8ページ)。
加算の全体:令和6年6月の一本化と、令和8年6月からの区分
介護職員等処遇改善加算は、令和6年6月に、それまでの介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算を一本化して創設されました(Vol.1479 3ページ)。令和6年度改定の資料は、一本化後の加算をⅠ〜Ⅳの4段階とし、加算Ⅳの要件に「賃金体系等の整備及び研修の実施等」を置いています(令和6年度介護報酬改定における改定事項について 108〜109ページ)。
令和8年度は、令和9年度の改定を待たずに期中改定が行われました。通知によると、加算の対象を介護職員のみから介護従事者に広げ、生産性向上や協働化に取り組む事業者向けの上乗せの区分を設け、これまで対象外だった訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援等にも加算を設けています(3〜4ページ)。令和8年6月以降の区分は、加算Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳです(6ページ)。
なお、令和6年3月15日の通知(老発0315第2号)は、令和8年3月31日をもって廃止されました(4ページ)。令和8年度の届出は令和8年度分の通知に、令和7年度の届出は令和7年度分の通知に基づきます(4ページ・19ページ)。加算率と区分ごとの金額は通知の別紙1 表1(20ページ)に載っていますが、この記事では扱いません。
区分ごとに必要なキャリアパス要件:Ⅰ・Ⅱはどの区分にも要る
通知の3⑴は、加算Ⅰイの算定には賃金改善に加えて①〜⑦の要件を全て満たすこととし、加算Ⅱイは⑥(キャリアパス要件Ⅴ)を、加算Ⅲは⑤と⑥を、加算Ⅳは④〜⑥を満たさなくても算定できるとしています。加算Ⅰロ・Ⅱロは、Ⅰイ・Ⅱイの要件に⑧の令和8年度特例要件を加えたものです(6ページ)。
- ①月額賃金改善要件:加算Ⅳの加算額の2分の1以上を基本給等の改善に充てる(6〜7ページ)。全区分。
- ②キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系の整備等)・③キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等):全区分。
- ④キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組みの整備等):加算Ⅲ以上。
- ⑤キャリアパス要件Ⅳ(改善後の年額賃金要件):加算Ⅱイ以上。経験・技能のある介護職員のうち1人以上が、賃金改善後の見込額で年額440万円以上であること(例外あり・9ページ)。
- ⑥キャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置要件):加算Ⅰイ・Ⅰロ。サービス提供体制強化加算などの所定の区分の届出で確かめます(9ページ・22ページ)。
- ⑦職場環境等要件:全区分(必要な取組の数は区分で違う・9〜10ページ)。⑧令和8年度特例要件:加算Ⅰロ・Ⅱロ(10〜11ページ)。
キャリアパス要件Ⅱの原文:「計画を作る」「研修を行う」「全職員に周知する」
通知の該当箇所(7〜8ページ)は、要件Ⅱを「次の一及び二を満たすこと」として、次のように書いています。
- 一:介護職員の職務内容等を踏まえ、介護職員と意見を交換しながら、資質向上の目標及びa又はbに掲げる事項に関する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会の確保をしていること。
- a:資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導等(OJT、OFF-JT等)を実施するとともに、介護職員の能力評価を行うこと。
- b:資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施すること。
- 二:一について、全ての介護職員に周知していること。
Q&Aの補足:意見交換の方法、目標の例、計画の様式、能力評価
Q&A(第1版)の問4-2〜問4-5(53〜54ページ)は、要件Ⅱの言葉を次のように補っています。研修計画を作る前に、ここを押さえておくと迷いが減ります。
- 意見交換(問4-2):対面に加え、労働組合がある場合は労働組合との意見交換、メール等による意見募集など、できるだけ多くの職員の意見を聴く機会を設けるよう配慮することが望ましいとしています。
- 資質向上の目標(問4-3):運営状況や職員のキャリア志向等を踏まえて事業者が設定するもので、例として、利用者のニーズに応じた良質なサービスのための技術・能力(介護技術、コミュニケーション能力、協調性、問題解決能力、マネジメント能力等)の向上や、事業所全体での資格等の取得率の向上を挙げています。
- 資質向上のための計画(問4-4):特に様式や基準等は設けておらず、事業者の運営方針や求める職員像、職員のキャリア志向に応じて設定するものとしています。計画期間の定めもなく、賃金改善実施期間と一致していなくてもよいとされています。無理な計画を立てて、かえって業務の妨げにならないよう配慮されたい、とも書かれています。
- 研修計画の例(問4-4):研修テーマと対象者に4月〜3月の実施予定月の欄を付けた表で、テーマには「ヒヤリハット事例への対応」「基本的な接遇・マナーの理解」「認知症の方への理解」「介護保険でできること、できないこと」「基本的な防火対策の理解」「感染症への理解」「法令遵守の理解」「サービス計画の策定」が、対象者には全職員・初任職員・中堅職員・リーダー職員が並びます。その他の計画として、採用1〜2年目の職員に3年以上の経験者を担当者として付けた日常の技術指導、月1回のケアカンファレンス、他事業者との交流、都道府県の研修会への参加が例示されています。
- 能力評価(問4-5):個別面談等を通して、職員の自己評価に対し、先輩職員・サービス担当責任者・ユニットリーダー・管理者等が評価を行う手法が考えられるとしています。こうした機会を適切に設けていれば、全ての職員に評価を行うことまでは求めていませんが、職員が自分の業務や能力をどう認識し、それが事業者の方向性の中でどう認められているかを確認しあうことは重要としています。
- 令和8年度の特例(通知8ページ・問4-10・56ページ):令和8年度特例要件を満たす事業所に限り、計画の策定と、研修の実施又は研修機会の確保を令和9年3月末までに行うと処遇改善計画書で誓約すれば、申請時点から要件Ⅱを満たすものとして扱われます。誓約した場合は、実績報告書で整備を報告します。
キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系)とⅢ(昇給の仕組み)の要点
研修計画と同じ書類の束で求められることが多いのが、要件Ⅰと要件Ⅲです。研修の受講状況を任用要件や昇給の条件に使う場合は、3つの要件の書類を同時に見直すことになります。
- 要件Ⅰ(7ページ):職位・職責・職務内容等に応じた任用等の要件(賃金に関するものを含む)と、それに応じた賃金体系(一時金等を除く)を定め、就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること。常時雇用する者が10人未満など就業規則の作成義務がない事業所は、内規等の整備・周知でもよいとされています。
- 要件Ⅰの「等」(問4-1・53ページ):法人全体の取扱要領や、就業規則の作成義務のない事業場の内規等を想定しています。計画書の様式には、小規模事業所用のキャリアパス・賃金規程の例(参考2・30ページ)が載っています。
- 要件Ⅲ(8〜9ページ):経験に応じて昇給する仕組み、資格等に応じて昇給する仕組み、一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みのどれかを設け、就業規則等で書面にし、全ての介護職員に周知していること。資格等の例に、介護福祉士等の資格の取得や実務者研修等の修了状況が挙がっています。
- ⅠとⅢの違い(問4-6・55ページ):要件Ⅰは任用要件と賃金体系の整備で、昇給に関する内容を含めることまでは求めていません。要件Ⅲは、経験・資格・評価に基づく昇給の仕組みを求めます。
- 判定の基準(問4-9・55ページ):「一定の基準」で昇給を判定する場合は、客観的な評価基準や昇給条件、判定の時期を明文化しておく必要があります。
令和8年度の特例:誓約で算定できるが、令和9年3月末までに整えて報告する
令和8年度は、申請時点で⑧の令和8年度特例要件(ケアプランデータ連携システムの利用、生産性向上推進体制加算Ⅰ又はⅡの算定、社会福祉連携推進法人への所属のいずれか・10〜11ページ)を満たす事業所に限り、処遇改善計画書で、令和9年3月末までに要件Ⅱの計画を作り研修の実施又は研修機会の確保を行うと誓約すれば、申請時点から要件Ⅱを満たすものとして扱われます。誓約した場合は、令和9年3月末までに計画の策定等を行い、実績報告書で報告します(8ページ)。要件Ⅰ・Ⅲ・Ⅳと職場環境等要件にも同じ形の扱いがあります(7〜10ページ)。
誓約はあとで整えることの約束で、整えなくてよいという意味ではありません。令和7年度の誓約について、Q&A問4-10は、実績報告書で要件の整備を報告しなければ原則として返還の対象になるとしたうえで、令和8年度特例要件を満たす事業所(特例要件に係る取組を行うことを誓約する場合を含みます)が令和8年度の計画書で改めて誓約した場合に限って返還を求めない扱いを示しています(56ページ)。令和8年度に誓約した事業所は、令和9年3月末から逆算して、計画づくりと研修の時期を年間計画に入れておくことになります。
新たに対象になったサービス:訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援等は「加算Ⅳに準ずる要件」か特例
令和8年6月から加算が設けられた訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援・介護予防支援(別紙1 表1-5のサービス)は、①令和8年度特例要件か、②処遇改善加算Ⅳの取得に準ずる要件(キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱと職場環境等要件の全て)のどちらかを満たすことで算定します(11〜13ページ・21ページ)。②を選ぶ場合も、令和8年度は計画書での誓約で申請時点から要件を満たすものとして扱い、令和9年3月末までに整えて実績報告書で報告する形です(12〜13ページ)。
このサービスの要件Ⅱは、主語が「介護職員」でなく「職員」になっています。「職員の職務内容等を踏まえ、職員と意見を交換しながら」計画を作り、全ての職員に周知する形です(12ページ)。看護職員やケアマネジャーの研修も、この計画の対象として考えることになります。
従来から対象のサービス(表1-1〜1-4)で、介護職員以外の職種も要件を満たす必要があるかについて、Q&A問4-11は、令和7年度に加算を算定している事業所には、既に満たしている取組について新たな取組を求めるものではないと答えています(56ページ)。令和8年度に初めて算定する事業所の扱いはこの答えから読み取りにくいため、指定権者に確認してください。
研修計画書に書くこと:対象者・目標・内容・時期・方法・評価・周知(当社の整理)
国の様式がないため、項目は事業所で決めます。次は、通知の言葉(目標・具体的な計画・研修の実施又は機会の確保・能力評価・周知)と、Q&Aの研修計画の例に沿って当社が整理した項目で、国が定めた項目ではありません。
- 計画期間:年度など。国の定めはなく、賃金改善実施期間と一致していなくてもよいとされています(問4-4)。
- 資質向上の目標:事業所全体の目標と、職位・経験ごとの目標。問4-3の例(技術・能力の向上、資格の取得率の向上)を参考に、自事業所の言葉で書きます。
- 対象者の区分:初任・中堅・リーダーなど、要件Ⅰの職位と対応させると、任用要件と研修のつながりを説明しやすくなります。
- 研修の内容:テーマと、集合研修(OFF-JT)・現場での指導(OJT)・外部研修・オンライン受講などの方法。計画書の参考1には、取組の書き方の例として「個別の希望に基づく研修計画を作成し、年●回以上●●研修をオンラインで受講」とあります(30ページ)。
- 実施予定月:Q&Aの例と同じく、4月〜3月の欄に予定月を付けます。
- aを選ぶ場合の能力評価:いつ、誰が、どの方法(個別面談・自己評価と上位者の評価など)で行うか。
- bを選ぶ場合の資格取得の支援:勤務シフトの調整、休暇の付与、受講料・交通費の援助のうち、何をどの条件で行うか。
- 意見交換と周知の方法:意見を聴いた日と方法(面談・会議・アンケート・メール等)、計画を周知した日と方法(掲示・配布・会議での説明など)。
法定研修(運営基準の研修)との関係:資料に明記はない。指定権者に確認する
運営基準(省令)は、研修の機会の確保を事業者の義務としています。訪問介護の基準(平成11年厚生省令第37号)第30条第3項は「訪問介護員等の資質の向上のために、その研修の機会を確保しなければならない」、特養の基準(同第39号)第24条第3項は「従業者に対し、その資質の向上のための研修の機会を確保しなければならない」としています(2026年11月4日に e-Gov 法令検索で確認)。これとは別に、虐待防止・感染症・BCPなどの研修は、解釈通知が回数を定めています。たとえば虐待の防止の研修は、訪問介護が年1回以上、特定施設が年2回以上です(介護保険最新情報 Vol.934 のPDF 367ページ・416ページ)。
一方、処遇改善加算の通知とQ&Aには、こうした運営基準の研修を資質向上の計画に含めてよいか、含めてはいけないか、1回の研修を運営基準の研修と加算の研修の両方の実績として数えてよいかの記載が見当たりませんでした。Q&A問4-4の研修計画の例には「感染症への理解」「法令遵守の理解」「ヒヤリハット事例への対応」「基本的な防火対策の理解」など、運営基準の研修と題材が重なるテーマが並んでいます。ただし、これは例示で、法定研修を兼ねてよいと書かれているわけではありません。
- 根拠が別:運営基準の研修は省令と解釈通知、キャリアパス要件Ⅱは加算の算定要件(通知)です。片方を満たしても、もう片方の要件(回数・周知・計画の策定)を満たしたことにはなりません。
- 当社の考え方:資質向上の計画に法定研修も載せる場合は、法定研修の回数の根拠と、加算の目標とのつながりを計画に別々に書いておくと説明しやすくなります。
- 確認すること:法定研修を資質向上の計画に含める扱い、1回の研修を両方に数える扱いは、資料には明記がないため、指定権者に確認してください。
記録の残し方:計画・意見交換・周知・実施・能力評価を、2年間すぐ出せるように
通知は、処遇改善計画書を根拠資料と併せて2年間保存すること(14ページ)、実績報告書も根拠資料と併せて2年間保存すること(15ページ)、記載内容の根拠となる資料を適切に保管し、都道府県知事等から求めがあった場合には速やかに提示することを求めています(17ページ)。届出のときに全ての事業者から一律に証明資料の添付を求めてはならないともされているため(18ページ)、手元に保管しておく資料が中心になります。
計画書(別紙様式2-1)の「要件を満たすことの確認・証明」の欄では、キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅲについて証明となる書面を作成して職員に周知したことを確認し、証明する資料の例に「就業規則、給与規程、資質向上のための計画等」を挙げています。計画書の内容と賃金改善の方法を全職員に周知したことの証明資料の例は「会議録、周知文書」です。同じ欄の注記には、虚偽記載や、指定権者からの求めに応じて書類を提出できなかった場合は、介護報酬の返還や指定取消となる場合があると書かれています(27ページ)。
- 計画:資質向上の目標と研修計画(作成日・版)。
- 意見交換:意見を聴いた日・方法・出た意見の要点(会議録やアンケートの集計)。
- 周知:周知した日・方法・対象(周知文書、掲示の写し、会議録)。
- 実施:研修ごとの実施記録・出席簿・資料。外部研修やオンライン受講は受講証や受講記録。法定研修と同じ様式で残すと管理しやすくなります(当社の整理)。
- 能力評価・資格取得の支援:面談の記録(日付・評価者)、シフト調整や受講料の援助の記録。
- 費用の扱い:Q&A問1-5は、キャリアパス要件や職場環境等要件を満たすための費用を賃金改善額に含めてはならないとしています(42ページ)。研修の費用は賃金改善とは別に記録します。
運営指導で見られる点:運営基準の確認文書と、加算の報酬請求指導は別
運営指導マニュアル(令和6年7月改訂)の別添「確認項目及び確認文書」は、勤務体制の確保等の確認項目に「資質向上のために研修の機会を確保しているか」を挙げ、確認文書を「研修の計画及び実績がわかるもの」としています(別添のPDF 5ページ・訪問介護)。これは運営基準の確認で、別添を機械で検索した範囲では「処遇改善」「キャリアパス」の語は見当たりませんでした。
加算の確認は、運営指導のうち報酬請求指導で行われます。マニュアルは、報酬請求指導を、主として届出等で実施する各種加算の算定及び請求状況を確かめるものとし、加算は要件ごとに必要な挙証資料が異なるため、確認文書以外のものを求めることになると書いています(マニュアルのPDF 56ページ)。運営指導で確認するのは、原則として運営指導を行う年度の前年度から直近(おおむね1月程度前まで)の実績です(同 19ページ)。研修の記録の詳しい残し方と、運営指導での見せ方は、関連記事の「介護の研修記録の書き方」「運営指導で研修はどう確認される?」にまとめています。
通知は、算定要件を満たさない場合や、虚偽又は不正の手段により加算を受けた場合に、都道府県知事等が既に支給された加算の一部又は全部を返還させること、又は加算を取り消すことができるとしています(17〜18ページ)。
年間計画の見本:法定研修の月割りと、要件Ⅱの研修・面談・周知を重ねる(当社の例)
4月始まりの年度の例です。月の配置は当社の提案で、法令や通知の定めではありません。法定研修の回数と月割りは、サービス類型で違うため、関連記事「介護の年間研修計画の立て方」の類型別の例を土台にしてください。
- 3月(前年度末):職員との意見交換(面談・アンケート)。翌年度の資質向上の目標と研修計画の案を作る。
- 4月:研修計画を確定し、全職員に周知(会議での説明と周知文書)。新任職員の担当者(OJTの指導役)を決める。
- 5月〜6月:初任職員向けの研修(接遇・介護保険の基本など)。法定研修の上半期分を、年間研修計画の月割りに沿って行う。
- 7月:外部研修・オンライン研修の受講(資格取得の支援を選ぶ場合は、シフト調整と受講料の援助を記録)。
- 9月:上半期の振り返り。個別面談で自己評価と上位者の評価を行い(能力評価)、記録を残す。
- 10月〜12月:中堅・リーダー向けの研修(認知症ケア、法令遵守、サービス計画など)。法定研修の下半期分。
- 1月〜2月:補講(欠席者・年度途中の入職者)。実施記録と計画の突き合わせ。
- 3月:個別面談(能力評価の2回目)と、翌年度の目標づくりのための意見交換。実績報告書に向けて、計画・周知・実施・評価の記録をそろえる。
計画を変えた時・規程を変えた時:届出が要る場合がある
通知は、キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅲの適合状況に変更があり、算定する加算の区分に変更が生じる場合は、変更届出書と所定の様式を出すこととしています。就業規則を改訂した場合(職員の処遇に関する内容に限る)は、改訂の概要を変更届出書に記載して提出します(15〜16ページ)。研修計画の中身を年度途中に見直すこと自体について、届出が要るとする記載は見当たりませんでした。見直した日と理由は計画の余白などに残しておくと、実績報告の時に説明しやすくなります(当社の整理)。
様式は令和8年7月にも一部差し替えられています(Vol.1522)。差し替えは、令和7年度と令和8年度の実績報告書(別紙様式3)の計算式の誤り等の修正です。提出の前には、厚生労働省と指定権者のホームページで最新の様式を確認してください。
よくある誤り(当社の整理)
通知とQ&Aの言葉に照らして、起こりやすいものを挙げます。件数などの統計ではありません。
- 研修の一覧表だけで、目標がない:要件Ⅱは「資質向上の目標」と具体的な計画の両方を求めています。
- 計画を管理者だけで作る:「介護職員と意見を交換しながら」策定することが要件です。意見を聴いた記録を残します。
- 作ったが周知していない:全ての介護職員(新たに対象になったサービスは全ての職員)への周知が要件です。
- aを選んだのに能力評価をしていない:aは研修機会の提供等と能力評価の組み合わせです。面談の記録を残します。
- 法定研修の実施をもって要件Ⅱも満たしたと考える:根拠が別で、両方に数えてよいかは資料に明記がありません。指定権者に確認します。
- 誓約したまま年度末を迎える:令和8年度の誓約は、令和9年3月末までの整備と実績報告での報告が前提です。
- 研修の費用を賃金改善額に入れる:Q&A問1-5は、要件を満たすための費用を賃金改善額に含めてはならないとしています。
研修の中身は無料の研修キットで、年間計画表はサービス類型を選ぶだけで
本サイトの研修キット(倫理・法令遵守、感染症対策、事故防止、認知症介護基礎研修の受講案内など全11テーマ)には、読み上げ用のレジュメ・確認テスト・実施記録様式・出席簿があり(認知症介護基礎研修は受講案内と受講記録の様式)、登録不要・無料で表示と印刷(PDF保存)ができます。資質向上の計画に載せた研修の実施記録を残す用途にも使えます。サービス類型を選ぶと、義務研修の一覧と、頻度に応じて月を配置した年間計画表も作れます。入力内容はお使いのブラウザの中にだけ保存され、外部には送信されません。
加算の要件・様式・提出期限は、年度と指定権者で変わります(本記事は2026年11月時点)。この記事は、加算の算定を約束するものではありません。最終的な適用は、指定権者(都道府県・市区町村)にご確認ください。本記事は法的助言ではありません。
この記事で確認した一次資料
2026年11月4日に、下の「出典」に挙げた資料を取得し、PDFは本文を直接テキスト化して該当箇所を確かめました。ページ番号は各PDFの通し番号です。厚生労働省の介護保険最新情報掲載ページで、令和8年度分の通知とQ&A(第1版・Vol.1479)のあとに出た処遇改善加算の資料は、同日に確かめた範囲では様式の一部差替(Vol.1522)でした。確認できなかった事項は、本文で「見当たらない」「指定権者に確認」と書いています。
- 処遇改善加算:介護保険最新情報 Vol.1479(令和8年度分の通知〔老発0313第6号〕・別紙1・別紙様式・Q&A第1版)、Vol.1522(様式例の一部差替)。
- 改定の資料:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(108〜109ページ)、令和8年度介護報酬改定について(介護給付費分科会資料)。
- 運営基準:平成11年厚生省令第37号 第30条、同第39号 第24条(e-Gov 法令検索)、介護保険最新情報 Vol.934(解釈通知の改正)。
- 運営指導:介護保険施設等運営指導マニュアル(令和6年7月改訂)とその別添「確認項目及び確認文書」。
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出典(一次資料)
- 厚生労働省老健局「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」(令和8年3月13日 老発0313第6号)及び「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」(介護保険最新情報 Vol.1479・PDF・2026年10月26日確認)
- 介護保険最新情報 Vol.1522(介護職員等処遇改善加算に関する様式例の一部差替について・令和8年7月8日・PDF)
- 厚生労働省「介護保険最新情報掲載ページ」(2026年11月4日確認)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(PDF)
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」(社会保障審議会介護給付費分科会 第253回 資料1・令和8年1月16日)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)
- 介護保険最新情報 Vol.934(令和3年度改定・解釈通知改正)
- 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」(令和6年7月改訂)
- 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」別添 確認項目及び確認文書(令和6年7月改訂・PDF)
【免責事項】本キットは研修実施の参考資料です。法令・運営基準・介護報酬の内容は改定されることがあります。実際の運用にあたっての最終確認は、指定権者(都道府県・市区町村等の自治体)へのご確認をおすすめします。本キットの利用により生じた損害について、当社の損害賠償責任は、故意・重過失を除き購入代金の額を上限とします。