通所リハビリテーション(デイケア)の研修 必須項目 2026|年何回・病院併設の院内感染対策研修との関係・減算2つと遡り
更新日:2026-10-26・約18分で読めます
通所リハビリテーション(デイケア。介護予防を含む)で運営基準が研修と訓練を義務づけているのは、高齢者虐待防止・感染症・業務継続計画(BCP)の3分野です。ほかに、認知症介護基礎研修を受講させる措置、ハラスメント対策、非常災害の訓練があります。身体拘束は研修の規定がなく、事故防止の委員会もありません。条番号(省令第37号 第8章)、回数、新規採用時、病院・診療所・老健が行う場合の医療法の研修との関係、減算2つ(いずれも1%)と令和6年6月からの適用、2026年の変更を、省令・解釈通知・国のQ&Aの原文で整理しました(2026年10月時点)。
この記事に関連する無料キット・一覧
研修キット(レジュメ・確認テスト・記録様式)
サービス類型ごとの義務一覧・年間計画表
まず結論:通所介護と同じ「通所系」。研修の義務は3分野、減算は2つ
通所リハビリテーションの運営基準は、平成11年厚生省令第37号の第8章(第110条から第119条)です。介護予防通所リハビリテーションは、平成18年厚生労働省令第35号の第8章(第116条から第127条)に同じ内容の条文があります。第37号の第119条は、訪問介護の条文(BCP・虐待の防止・事故発生時の対応など)と、通所介護の第101条から第103条(勤務体制の確保等・定員の遵守・非常災害対策)を準用しており、研修まわりの義務は通所介護とほぼ同じ「通所系」です。
研修と訓練の義務は、①高齢者虐待防止(研修は年1回以上と、新規採用時に必ず)、②感染症の予防とまん延防止(研修と訓練は各年1回以上、新規採用時は「望ましい」)、③業務継続計画(BCP)(研修と訓練は各年1回以上、新規採用時は別に研修するのが「望ましい」)の3分野です。ほかに、④医療・福祉関係の資格を持たない従業者に認知症介護基礎研修を受講させる措置、⑤ハラスメント対策の措置、⑥研修の機会の確保、⑦非常災害の避難・救出などの訓練が義務です。
先に確認しておきたいのは「ないもの」です。身体拘束は、緊急やむを得ない場合を除く禁止と記録だけが義務で、委員会・指針・研修の規定は通所リハビリテーションにありません。事故防止の委員会・指針・研修・担当者の規定も、生産性向上の委員会の規定も、第8章と準用される条文に見当たりません。
研修や委員会が欠けたときの減算は2つで、高齢者虐待防止措置未実施減算とBCP未策定減算が、どちらも所定単位数の1%です。通所リハビリテーションは令和6年度改定の施行が6月1日のサービスで、BCP未策定減算は国のQ&A(問165)が「令和6年6月」と明記しています。通所介護の令和6年4月とは2か月ずれます。
早見表:義務の研修・訓練の条番号・回数・新規採用時・減算
条番号は平成11年厚生省令第37号(通所リハビリテーション)のものです。回数と新規採用時の扱いは解釈通知(老企第25号。介護保険最新情報 Vol.934)、減算は令和6年度介護報酬改定によります。虐待防止・感染症・BCP・認知症介護基礎研修は令和3年度改定で義務化され、3年の経過措置を経て令和6年4月から完全義務です。
- 高齢者虐待防止【義務】第119条で準用する第37条の2:委員会(定期的)・指針・研修(定期的)・担当者の4つ。研修は年1回以上と、新規採用時に必ず。4つのどれかが欠けると所定単位数の1%減算。
- 感染症の予防とまん延防止【義務】第118条第2項:委員会(おおむね6月に1回以上)・指針・研修と訓練(定期的)。研修と訓練は各年1回以上で、新規採用時の感染対策研修は「望ましい」。確認した国の資料の範囲では、研修・訓練の未実施そのものへの減算はなし。
- 業務継続計画(BCP)【義務】第119条で準用する第30条の2:感染症と災害の計画の策定、従業者への周知、研修・訓練(各年1回以上)、定期的な見直し。新規採用時は別に研修するのが「望ましい」。計画の未策定は所定単位数の1%減算。
- 認知症介護基礎研修【受講させる措置が義務】第119条で準用する第101条第3項:看護師・准看護師・介護福祉士・介護支援専門員などの資格を持つ人を除く従業者が対象。新しく採用した人は採用後1年を経過するまでに受講させます。減算なし。
- ハラスメント対策【措置義務】第119条で準用する第101条第4項:方針の明確化等の措置。研修は周知・啓発の手段の一つで、回数の定めなし。
- 研修の機会の確保【義務】第101条第3項前段の準用:従業者の資質向上のため、研修の機会を確保します。倫理・法令遵守の研修はこの枠で計画に入れます。回数の定めなし。
- 非常災害対策【訓練が義務】第103条の準用:具体的計画と通報・連携体制を定期的に周知し、避難・救出などの訓練を定期的に行います(回数の記載なし)。
- 身体的拘束等【禁止と記録が義務】第114条第3号・第4号:緊急やむを得ない場合を除き禁止。行う場合は態様・時間・心身の状況・緊急やむを得ない理由を記録。委員会・指針・研修の規定なし、減算なし。
- 事故発生時の対応【記録が義務】第119条で準用する第37条:市町村・家族・居宅介護支援事業者等への連絡、必要な措置、記録、損害賠償。委員会・指針・研修・担当者の規定なし。
根拠:「準用」の読み方と、解釈通知の参照先
第119条は、第30条の2、第33条、第35条から第38条まで、第101条から第103条までなどを、通所リハビリテーションの事業に準用すると書いています。枝番の条も範囲に含む読み方で、第37条の2(虐待の防止)は「第35条から第38条まで」に入ります(解釈通知も、第37条の2が準用されると書いています)。条文の「訪問介護員等」や「通所介護従業者」は「通所リハビリテーション従業者」に読み替えます。感染症だけは準用でなく、第118条に直接書かれています。
解釈通知の通所リハビリテーションの項は、BCPと感染症を「通所介護と同様」、虐待の防止を「訪問介護と同様」として、参照先の項を読ませる書き方です。参照先の書き方は、虐待防止が「定期的な研修(年1回以上)を実施するとともに、新規採用時には必ず虐待の防止のための研修を実施することが重要」、感染症が「定期的な教育(年1回以上)を開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施することが望ましい」、BCPが「定期的(年1回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施することが望ましい」です。感染症とBCPの訓練も「定期的(年1回以上)」です。施設・居住系の年2回以上とは違います。
介護予防通所リハビリテーションは、勤務体制の確保等(認知症介護基礎研修・ハラスメント)が第120条の2、非常災害対策が第120条の4、感染症が第121条に直接あります。第123条が、介護予防訪問入浴介護の条文(BCP=第53条の2の2、虐待の防止=第53条の10の2、事故発生時の対応=第53条の10)を準用します。身体拘束の禁止と記録は第125条第10号・第11号、記録の保存は第122条です。介護予防側の解釈通知は、本記事では確認していません。
委員会は2つ。身体拘束・事故防止・生産性向上の委員会は通所リハにない
通所リハビリテーションで開く委員会は、感染対策と虐待防止の2つです。どちらもテレビ電話装置等を使って開くことができます(省令)。
- 感染対策委員会:おおむね6月に1回以上(第118条第2項第1号)。結果を従業者に周知します。解釈通知(通所介護と同様)は、幅広い職種で構成し、感染対策担当者を決めておくこと、流行する時期などは随時開くこと、ほかの会議体と一体的に設置・運営してよいことを示しています。
- 虐待防止検討委員会:定期的に開催(回数の定めなし)。管理者を含む幅広い職種で構成し、結果を従業者に周知します。ほかの会議体と一体的に設置・運営してよく、ほかのサービス事業者との連携等により行うことも差し支えないとされています(解釈通知)。
- 身体的拘束等の適正化の委員会は、通所リハビリテーションにありません。第114条は禁止と記録だけです。令和6年度改定で委員会・指針・研修を義務づけたのは、短期入所系と多機能系です(令和6年度の改定事項)。
- 事故防止の委員会・指針・研修・担当者もありません。第37条は、連絡、必要な措置、記録、賠償を定めるだけです。事故の状況と処置の記録は、第118条の2第2項第6号で完結の日から2年間の保存が義務です。
- 生産性向上の委員会も、第8章と準用される条文には見当たりません。
病院・診療所・老健・介護医療院が行う通所リハ:医療法の研修との関係
通所リハビリテーションの事業所は、病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院が行います。第111条は、診療所の場合と、老健・介護医療院のみなし指定の場合の人員基準を別に定めています。一方、研修・委員会・減算に関わる運営基準(第113条から第119条)は、事業所の種別で書き分けられていません。病院でも老健でも、通所リハビリテーションの事業としては、前の節までの義務がそのままかかります。
病院・診療所には、これとは別に医療法施行規則第1条の11があります。管理者は、従業者に対する院内感染対策のための研修(第2項第1号ハ)と、医療に係る安全管理のための職員研修(第1項第3号)を行わなければなりません。省令に回数はなく、医政局長通知(平成19年3月30日医政発第0330010号。平成28年改正の新旧対照表)が、院内感染対策の研修を「年2回程度定期的に開催するほか、必要に応じて開催」するものとしています。同じ通知は、院内感染対策の措置を医療安全の措置と「一体的に実施しても差し支えない」とし、研修の実施内容(日時・出席者・研修項目)の記録を求めています。ただし、これは医療法の中での話です。
通所リハビリテーションの感染症の研修・訓練(年1回以上)を、院内感染対策の研修で兼ねてよいかは、確認した解釈通知(老企第25号の令和3年度・令和6年度改正)、留意事項通知(老企第36号)、前述の医政局長通知のいずれにも書かれていませんでした。兼ねてよいという書き方も、別に行えという書き方も見当たりません。
兼ねる運用にする場合は、①通所リハビリテーションの従業者が参加したこと、②事業所の指針に沿った内容(送迎、集団での活動など)を含めたこと、③訓練を含めたことを、記録で説明できるようにしておくと安心です(当社の整理)。迷う場合は、介護は指定権者、医療法は医療を所管する部署(保健所など)に確認してください。
老健・介護医療院の中で行う通所リハビリテーションは、施設サービスの運営基準(老健は省令第40号、介護医療院は省令第5号)とは別に、通所リハビリテーションの事業としてこの記事の義務がかかります。第111条第4項が「みなす」としているのは人員基準で、研修などの運営基準について施設の基準を満たせば足りるとする規定は、第8章に見当たりません。施設サービス側の義務は「介護保険施設の法定研修まとめ」で整理しています。
新規採用時の研修と、認知症介護基礎研修の対象者の見方
新規採用時に「必ず」行うのは虐待防止で、感染症とBCPは「望ましい」です。特養・老健やグループホームの通知は感染症やBCPの新規採用時を「必ず」「実施すること」と書き分けているので、施設・居住系向けの入職時チェックリストを流用する場合は注意してください。
認知症介護基礎研修は、第101条第3項後段の準用で、看護師・准看護師・介護福祉士・介護支援専門員、法第8条第2項に規定する政令で定める者などの資格を持つ人その他これに類する人を除く従業者に、受講させるために必要な措置を講じる義務です。解釈通知は、対象を「介護に直接携わる職員のうち、医療・福祉関係の資格を有さない者」とし、対象外の例に、実務者研修・初任者研修の修了者、社会福祉士、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士などを挙げています。新規採用・中途採用を問わず、新たに採用した人は採用後1年を経過するまでに受講させます。
通所リハビリテーションの配置職種は、医師、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、看護職員、介護職員です(第111条)。資格を持つ職員が多い事業所では、対象は資格を持たない介護職員などに限られると読めます。非常勤や入職したばかりの人を見落とさないよう、入職時に資格の有無を一覧に残しておくと確認が楽です(当社の整理)。介護に直接携わるかどうかの線引きを職種ごとに示した記載は、確認した通知の範囲では見当たりませんでした。
年間の組み方:月割りの例(当社の提案)
月の配置は法令の定めではなく当社の提案です。4月始まりの年度の例で、事業所の行事や人員に合わせて動かしてください。
- 4月:年間計画の確定。入職者への入職時研修(虐待防止は「必ず」、感染症とBCPは「望ましい」)。無資格の介護職員の認知症介護基礎研修の対象者を洗い出す。
- 6月:感染症の研修・訓練。感染症のBCPの研修・訓練と同じ機会に行えます(通知は一体的な実施を差し支えないとしています)。
- 9月:災害のBCPの研修と、災害の訓練。非常災害対策の避難・救出などの訓練と一体的に実施してよいとされています。台風・大雨の前に行います。
- 10月:虐待防止の研修。同じ月から始まるカスハラ対策の周知(後述)とあわせると、ハラスメントの話題をまとめられます。
- 1月:予備月(欠席者の補講と記録の点検)と、指針・BCPの見直し。3月:年度の振り返りと翌年度の計画案づくり。
- 委員会(別枠):感染対策=5・11月(おおむね6月に1回以上)。虐待防止=6・12月(定期的)。
記録と保存:運営指導で見られる文書と、2年保存の記録
解釈通知は、虐待防止・感染症・BCPの研修について、実施内容を記録することを求めています。研修は事業所内で行うものでも差し支えないと書かれています。厚生労働省の運営指導の確認項目一覧は、通所リハビリテーションの確認文書として、研修の計画及び実績がわかるもの、BCPの研修と訓練それぞれの計画及び実績がわかるもの、避難・救出等訓練の実施状況がわかるもの、感染症の委員会の開催状況と研修・訓練の実施状況・結果がわかるもの、虐待防止の委員会・指針・研修の計画及び実績・担当者がわかるものを挙げています。
第118条の2第2項は、通所リハビリテーション計画、提供したサービスの内容等の記録、身体的拘束等の記録、市町村への通知に係る記録、苦情の内容等の記録、事故の状況と処置の記録を、その完結の日から2年間保存するよう求めています。「完結の日」は、利用者ごとに、契約の終了などで一連のサービス提供が終わった日で、診療記録も含まれます(解釈通知)。研修の実施記録そのものの保存年限を定めた条文は、確認した範囲では見当たりませんでした。
研修をしないとどうなる?減算は2つ(いずれも1%)。さかのぼり方が違う
率は令和6年度の改定事項(所定単位数の100分の1)、始まる月と終わる月は留意事項通知(老企第36号。通所リハビリテーションの項は、虐待防止を訪問介護と、BCPを通所介護と同様としています)、さかのぼりは国のQ&A(令和6年度 Vol.1 問164〜問169)によります。減算は利用者全員が対象で、虐待があったかどうかでなく、措置を講じているかどうかで判定されます。
- 高齢者虐待防止措置未実施減算【所定単位数の1%】委員会を定期的に開催していない、指針を整備していない、年1回以上の研修を実施していない、担当者を置いていない事実が生じた場合で、速やかに改善計画を都道府県知事に提出し、事実が生じた月から3月後に報告します。減算は「事実が生じた月の翌月から改善が認められた月まで」です(留意事項通知)。虐待が起きていなくても、4つの措置の一つでも欠ければ対象です(問167)。さかのぼらず、見つかった日の属する月が「事実が生じた月」で(問168)、改善計画を出したかどうかにかかわらず翌月から減算し、事実が生じた月から3か月以降に改善が認められた月まで続きます(問169)。
- 業務継続計画未策定減算【所定単位数の1%】感染症・災害のどちらか、または両方の計画が未策定で、計画に従った措置も講じていない場合です(問164)。周知・研修・訓練・見直しの有無は要件ではありません。通所リハビリテーション(介護予防を含む)は令和6年6月からで、令和7年3月31日までは感染症の指針と非常災害の計画があれば減算しない経過措置がありました(問165)。運営指導で見つかった時点ではなく「基準を満たさない事実が生じた時点」までさかのぼります(問166)。留意事項通知は、その翌月(事実が生じた日が月の初日なら当月)から、解消された月まで減算するとしています。
- 虐待防止措置未実施減算の始まり:同じ令和6年度改定の事項で、通所リハビリテーションの改定の施行日は令和6年6月1日です(改定事項の「施行時期」)。この減算だけについて通所リハビリテーションの施行日を個別に書いた国の資料は、確認した範囲では見当たりませんでした。
数え方の例と、減算のない義務
令和8年10月の運営指導で、虐待防止検討委員会が開かれていないと分かった場合、「事実が生じた月」は10月で、減算は11月分から始まります。改善が認められるのは早くて事実が生じた月から3か月後の令和9年1月なので、少なくとも3か月分は減算されます(留意事項通知と問168・問169にもとづく数え方)。BCPは、見つかった月ではなく事実が生じた時点までさかのぼります。計画が一度も作られていなければ、国のQ&Aが通所介護で示す例(令和6年4月までさかのぼる)を通所リハビリテーションに当てはめると、令和6年6月からです(当社の当てはめ)。
感染症の研修・訓練、認知症介護基礎研修、ハラスメント対策、研修機会の確保、非常災害の訓練は、確認した国の資料の範囲では減算の対象ではありませんが、運営基準の義務なので、していなければ運営指導で改善を求められます。
回数の定めはないが、通所リハで押さえる分野
次の分野は研修の回数の定めがありません。年間計画に一緒に入れておくと漏れを防げます。
- ハラスメント対策:第101条第4項の準用で、性的な言動や優越的な関係を背景とした言動で従業者の就業環境が害されることを防ぐための、方針の明確化等の措置が義務です。研修は周知・啓発の手段の一つです。
- 研修の機会の確保と倫理・法令遵守:第101条第3項前段の準用です。外部の研修や事業所内の研修に参加する機会を計画的に確保します。
- 非常災害対策:第103条の準用で、避難・救出などの訓練を定期的に行います。地域住民の参加が得られるよう連携に努める規定(第2項)もあります。災害のBCPの訓練は、この訓練と一体的に実施してよいとされています。
- 個人情報・秘密保持:第33条の準用で、従業者の秘密保持が義務です。研修の義務規定は見当たりません。
- 医薬品・医療機器の管理:第118条第1項が、衛生管理とあわせて、医薬品及び医療機器の管理を適正に行うことを義務づけています。研修の規定はありません。
2026年の変更:カスハラ対策の義務化(10月1日)と、処遇改善加算の拡充(6月)
2026年10月1日からは、改正労働施策総合推進法により、カスタマーハラスメント対策が全事業主の雇用管理上の措置義務になりました。厚生労働省のリーフレットが挙げる措置は、方針の明確化と労働者への周知・啓発、相談窓口の設置と周知、事後の迅速かつ適切な対応などです。研修は周知・啓発の手段の一つで、パワハラ・セクハラ対策(第101条第4項の措置)とあわせて年間計画に入れておくと漏れを防げます。
2026年(令和8年)6月1日から、介護職員等処遇改善加算が拡充されました。厚生労働省の資料によると、加算の対象が介護職員から介護従事者に広がり、生産性向上や協働化に取り組む事業者向けの上乗せ区分(加算Ⅰロ・Ⅱロ)が設けられました。通所リハビリテーションの加算率は、加算Ⅰイ10.3%、Ⅰロ11.1%、Ⅱイ10.0%、Ⅱロ10.8%、Ⅲ8.3%、Ⅳ7.0%です(介護予防も同様の措置)。
研修との関係では、加算Ⅳ以上のどの区分でも「賃金体系等の整備及び研修の実施等(キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ)」が要件に入っています。これは運営基準の義務研修とは別の、加算を算定するための要件です。
よくある失敗(当社の整理)
省令・解釈通知の求めに照らして、起こりやすいものを並べた当社の整理です。
- 通所介護の資料のBCP減算の起点(令和6年4月)をそのまま使う:通所リハビリテーションは令和6年6月です。さかのぼりの計算がずれます。
- 施設向けの計画を流用する:事故防止や身体拘束の委員会・研修は、通所リハビリテーションに定めがありません。施設・居住系の年2回の回数を置く必要もありません。
- 院内感染対策の研修に出ただけで済ませる:通所リハビリテーション分の参加者と内容が記録で説明できないと、運営指導で研修・訓練の実施状況を示せません。
- 認知症介護基礎研修の対象者を確認しない:資格を持つ職員が多くても、無資格の介護職員が入職していれば、採用後1年以内に受講させる措置が要ります。
無料の研修キットと年間計画表
このサイトでは、虐待防止・感染症対策・BCP・ハラスメント・認知症介護基礎研修のテーマ別に、読み上げ用レジュメ・確認テスト・実施記録様式・出席簿を無料で表示・印刷できます。「義務研修一覧表」でサービス類型に「通所系」を選ぶと、当てはまる研修だけの一覧と、頻度に応じて月を配置した年間計画表も作れます(無料・登録なし。入力内容はお使いのブラウザの中にだけ保存されます)。医療法の院内感染対策・医療安全の研修は、この一覧表には含まれていません。
この記事で確認した一次資料
本文の条番号・回数・減算の率・Q&Aの問番号は、2026年10月26日に次の原文で確認しました(リンクは記事末尾の「出典(一次資料)」)。法令・介護報酬は改定されます。最終的な適用は指定権者(都道府県・市区町村)へご確認ください。
- 省令:平成11年厚生省令第37号、平成18年厚生労働省令第35号、医療法施行規則第1条の11(e-Gov 法令検索の現行条文)。
- 通知:老企第25号(Vol.934と令和6年度改正)、老企第36号の令和6年度改正、医政局長通知(平成19年医政発第0330010号)。
- 報酬・そのほか:令和6年度の改定事項、令和6年度改定 Q&A(Vol.1)、運営指導の確認項目一覧、令和8年度介護報酬改定の資料と Vol.1478、カスハラ対策リーフレット。
この記事を書いたチームは、note でも介護の仕事で考えたことを書いています。note をフォローする
出典(一次資料)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)
- 指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第35号)
- 介護保険最新情報 Vol.934(令和3年度改定・解釈通知改正)
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(老企第25号)令和6年度改正の新旧対照表(別紙10・抄)
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(老企第36号)令和6年度改正の新旧対照表(別紙1・抄)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(PDF)
- 介護保険最新情報 Vol.1225(令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)・令和6年3月15日)
- 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」別添 確認項目及び確認文書(令和6年7月改訂・PDF)
- 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第1条の11(医療の安全を確保するための措置・院内感染対策のための体制)
- 厚生労働省医政局長通知「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の一部の施行について」(平成19年3月30日医政発第0330010号)平成28年改正の新旧対照表(別紙3・抄)=院内感染対策の研修の回数・記録
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」(社会保障審議会介護給付費分科会 第253回 資料1・令和8年1月16日)
- 介護保険最新情報 Vol.1478(「介護給付費算定に係る体制等に関する届出等における留意点について」の一部改正=令和8年6月1日から適用・令和8年3月13日)
- 厚生労働省リーフレット「令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます!」
【免責事項】本キットは研修実施の参考資料です。法令・運営基準・介護報酬の内容は改定されることがあります。実際の運用にあたっての最終確認は、指定権者(都道府県・市区町村等の自治体)へのご確認をおすすめします。本キットの利用により生じた損害について、当社の損害賠償責任は、故意・重過失を除き購入代金の額を上限とします。