訪問リハビリテーションの研修 必須項目 2026|年何回・病院併設の院内感染対策研修との関係・減算2つとBCPの適用日
更新日:2026-10-27・約19分で読めます
訪問リハビリテーション(介護予防を含む)で運営基準が研修と訓練を義務づけているのは、高齢者虐待防止・感染症・業務継続計画(BCP)の3分野です。認知症介護基礎研修を受講させる措置の規定はなく、身体拘束は禁止と記録だけです。条番号(省令第37号 第5章)、回数、新規採用時、病院・診療所・老健・介護医療院が行う場合の医療法の研修との関係、減算2つ(いずれも1%)とBCP未策定減算が令和7年4月からである点、2026年の変更を、省令・解釈通知・国のQ&Aの原文で整理しました(2026年10月時点)。
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まず結論:義務の研修は3分野。認知症介護基礎研修の規定はなく、BCP減算は令和7年4月から
訪問リハビリテーションの運営基準は、平成11年厚生省令第37号の第5章(第75条から第83条)です。介護予防訪問リハビリテーションは、平成18年厚生労働省令第35号の第5章(第78条から第86条)に同じ内容の条文があります。第83条は、訪問介護の条文(第30条、第30条の2、第31条、第37条、第37条の2など)を準用しており、研修まわりの義務は訪問介護などの「訪問系」とほぼ同じです。
研修と訓練の義務は、①高齢者虐待防止(研修は年1回以上と、新規採用時に必ず)、②感染症の予防とまん延防止(研修と訓練は各年1回以上、新規採用時は「望ましい」)、③業務継続計画(BCP)(研修と訓練は各年1回以上、新規採用時は別に研修するのが「望ましい」)の3分野です。回数は条文になく、解釈通知が示します。ほかに、研修の機会の確保とハラスメント対策の措置が義務ですが、回数の定めはありません。
先に確認しておきたいのは「ないもの」です。認知症介護基礎研修を受講させる措置は、第83条が準用する第30条にありません。身体拘束は禁止と記録(第80条第3号・第4号)だけで、委員会・指針・研修の規定はなく、事故防止の委員会・研修や、通所系の非常災害対策(第103条)の準用もありません。
減算は2つで、高齢者虐待防止措置未実施減算とBCP未策定減算が、どちらも所定単位数の1%です。BCP未策定減算は、国のQ&A(問165)が訪問リハビリテーションを「令和7年4月」としています。通所リハビリテーションの令和6年6月とは違うので、他の類型の資料を使うと起点がずれます。
早見表:義務の研修・訓練の条番号・回数・新規採用時・減算
条番号は省令第37号、カッコ内は介護予防の省令第35号です。回数と新規採用時の扱いは解釈通知(老企第25号。Vol.934)、減算は令和6年度介護報酬改定によります。虐待防止・感染症・BCPは、3年の経過措置が令和6年3月31日で終わり、令和6年4月から完全義務です。
- 高齢者虐待防止【義務】第83条で準用する第37条の2(第84条で準用する第53条の10の2):委員会(定期的)・指針・研修(定期的)・担当者の4つ。研修は年1回以上と、新規採用時に必ず。どれかが欠けると所定単位数の1%減算。運営規程にも虐待の防止のための措置を定めます(第82条第6号)。
- 感染症の予防とまん延の防止【義務】第83条で準用する第31条第3項(第53条の3第3項):委員会(おおむね6月に1回以上)・指針・研修と訓練(定期的)。研修と訓練は各年1回以上で、新規採用時の研修は「望ましい」。研修・訓練の未実施そのものへの減算は、確認した範囲ではなし。
- 業務継続計画(BCP)【義務】第83条で準用する第30条の2(第53条の2の2):感染症と災害の計画の策定、周知、研修・訓練(各年1回以上)、定期的な見直し。新規採用時は別に研修するのが「望ましい」。未策定は所定単位数の1%減算。
- 研修の機会の確保・ハラスメント対策【措置義務】第83条で準用する第30条第3項・第4項(第72条の2):倫理・法令遵守の研修はこの枠。回数の定めなし。
- 認知症介護基礎研修【規定なし】第30条に受講させる措置の規定がなく、義務ではありません(規定があるのは訪問入浴介護の第53条の2第3項)。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師は、解釈通知が対象外の例に挙げています。
- 身体的拘束等【禁止と記録が義務】第80条第3号・第4号(第86条第10号・第11号):行う場合は態様・時間・心身の状況・緊急やむを得ない理由を記録。委員会・指針・研修の規定なし、減算なし。
- 事故発生時の対応【記録が義務】第83条で準用する第37条(第53条の10):連絡、必要な措置、記録、損害賠償。委員会・指針・研修・担当者の規定なし。
根拠:「準用」の読み方と、解釈通知の参照先
第83条は、第8条から第13条まで、第15条から第19条まで、第21条、第26条、第30条から第33条まで、第35条から第38条まで、第52条及び第64条を準用すると書いています。枝番の条も範囲に含む読み方で、第30条の2(BCP)は「第30条から第33条まで」、第37条の2(虐待の防止)は「第35条から第38条まで」に入ります。条文の「訪問介護員等」は「理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士」に読み替えます。感染症は、通所リハビリテーションと違って直接は書かれておらず、第31条第3項の準用です。
解釈通知(老企第25号)の訪問リハビリテーションの項は、BCPと衛生管理等(感染症)を「訪問入浴介護と同様」、虐待の防止を「訪問介護と同様」として、参照先の項を読ませる書き方です。参照先の書き方は、虐待防止が「定期的な研修(年1回以上)を実施するとともに、新規採用時には必ず虐待の防止のための研修を実施することが重要」、感染症が「定期的な教育(年1回以上)を開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施することが望ましい」、BCPが「定期的(年1回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施することが望ましい」です。感染症とBCPの訓練も「定期的(年1回以上)」です。
介護予防は、第84条が、介護予防訪問入浴介護の条文(第53条の2の2・第53条の3・第53条の10・第53条の10の2)と、介護予防訪問看護の勤務体制の確保等(第72条の2)を準用します。介護予防側の解釈通知は、本記事では確認していません。
委員会は2つ。身体拘束・事故防止・生産性向上の委員会は訪問リハビリテーションにない
委員会は、感染対策と虐待防止の2つです。どちらもテレビ電話装置等を使って開けます(省令)。
- 感染対策委員会:おおむね6月に1回以上(第31条第3項第1号)。解釈通知(訪問入浴介護と同様)は、感染対策の知識を有する者を含む幅広い職種で構成し、感染対策担当者を決めておくこと、流行期などは必要に応じて随時開くことを示しています。
- 虐待防止検討委員会:定期的に開催(回数の定めなし)。管理者を含む幅広い職種で構成し、結果を従業者に周知徹底します(解釈通知。訪問介護と同様)。
- 共通:どちらも、ほかの会議体と一体的に設置・運営して差し支えなく、ほかのサービス事業者との連携等により行うことも差し支えないとされています。
- 身体的拘束等の適正化、事故の発生の防止、生産性向上の委員会は、訪問リハビリテーションにありません。令和6年度改定で身体拘束の委員会・指針・研修を義務づけたのは、短期入所系と多機能系です(令和6年度の改定事項)。
病院・診療所・老健・介護医療院が行う訪問リハビリテーション:医療法の研修との関係
訪問リハビリテーションの事業所は、病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院です(第77条)。病院・診療所は介護保険法第71条、老健・介護医療院は第72条で、居宅サービスの指定があったものとみなす仕組み(みなし指定)があります。第76条第3項がみなしているのは、老健・介護医療院の医師の常勤の基準(人員)です。研修・委員会・減算に関わる運営基準(第80条から第83条と準用先)は、事業所の種別で書き分けられていません。病院でも老健でも、訪問リハビリテーションの事業として、前の節までの義務がそのままかかります。老健の施設サービス側の義務は「介護保険施設の法定研修まとめ」で整理しています。
病院・診療所には、これとは別に医療法施行規則第1条の11があります。管理者は、従業者に対する院内感染対策のための研修(第2項第1号ハ)と、医療に係る安全管理のための職員研修(第1項第3号)を実施しなければなりません。回数は省令になく、医政局長通知(平成19年医政発第0330010号。平成28年改正の新旧対照表)が、院内感染対策の研修を「年2回程度定期的に開催するほか、必要に応じて開催」するものとし、医療安全の措置と「一体的に実施しても差し支えない」とし、日時・出席者・研修項目の記録を求めています。ただし、これらは医療法の中での話です。
訪問リハビリテーションの感染症の研修・訓練(各年1回以上)を、院内感染対策の研修で兼ねてよいかは、確認した解釈通知(老企第25号の令和3年度・令和6年度改正)、留意事項通知(老企第36号)、国のQ&A(令和6年度 Vol.1)、運営指導の確認項目、前述の医政局長通知のいずれにも書かれていませんでした。兼ねてよいという書き方も、別に行えという書き方も見当たりません。通所リハビリテーションの記事と同じ結論です。
兼ねる運用にする場合は、①訪問リハビリテーションの従業者が参加したこと、②事業所の指針に沿った内容(訪問先での手指衛生、持ち込むリハビリの用具や機器の取り扱い、感染が疑われる利用者への対応など)を含めたこと、③訓練を含めたことを、記録で説明できるようにしておくと安心です(当社の整理)。院内感染対策の研修は、通知が「病院等全体に共通する院内感染に関する内容」を扱うものとしているので、訪問先の場面は別に補う必要が出ます。迷う場合は、介護は指定権者、医療法は保健所などに確認してください。
研修の対象者:理学療法士・作業療法士・言語聴覚士。医師と少人数の事業所の見方
従業者は、医師(常勤)と、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(1以上)です(第76条)。第83条の読み替えで、研修や周知の条文の対象は「理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士」と書かれ、運営指導の確認項目も、虐待防止の委員会の結果の周知先を同じ3職種としています。医師は読み替えの文言に入っていません。一方、BCPの研修・訓練は、感染症や災害のときは従業者が連携して取り組むことが求められるため、全ての従業者が参加できるようにすることが望ましいと解釈通知が書いています。医師も参加できる日程にしておくのが無理のない運用です(当社の整理)。
理学療法士等が1〜2人の事業所でも、国のQ&A(問170)は、規模の大小に関わりなく虐待防止の委員会と研修を定期的に実施してほしいとし、法人内の複数事業所での合同開催や自治体の研修会への参加などを例に挙げています。合同で開く場合は、参加した各事業所の従事者と内容が記録で確認できるようにします。感染症とBCPの条文にも、規模による例外は書かれていません。兼務や非常勤の人が対象に入るかは、確認した通知に個別の記載が見当たらないため、訪問リハビリテーションの業務に従事する人は受講管理表に載せておくと確認に答えやすくなります(当社の整理)。
感染症とBCPの研修の中身:訪問先の場面に引き寄せる
解釈通知(訪問入浴介護の項を参照)は、感染症の研修の内容を、感染対策の基礎的内容等の知識の普及・啓発と、事業所の指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行としています。事業所内で行って差し支えなく、記録も要ります。訓練は、発生を想定したシミュレーションで、机上と実地を組み合わせるのが適切とされます。BCPは感染症と災害の両方が対象で、感染症のBCPの研修・訓練は感染症の研修・訓練と一体的に実施してよいとされています。
- 感染症の題材の例(当社の整理。通知に訪問リハビリテーション向けの記載はありません):訪問先での手指衛生と標準予防策、持ち込むリハビリの用具や機器の消毒、利用者の発熱や咳に気づいたときに訪問を見合わせて事業所へ連絡する流れ。
- BCPの訓練の例(当社の整理):訪問を続けるか中止するかの判断基準、停電・断水・交通の混乱で訪問できないときの利用者宅への連絡手順。
- 災害の訓練は単独の枠:非常災害対策の訓練と一体で、という記述は通所介護などの通知にありますが、訪問リハビリテーションには非常災害対策の条文も、その記述も見当たりません。
年間の組み方:月割りの例(当社の提案)
月の配置は法令の定めではなく当社の提案です。4月始まりの年度の例で、事業所の行事や人員に合わせて動かしてください。
- 4月:年間計画の確定。入職時研修(虐待防止は「必ず」、感染症とBCPは「望ましい」)。非常勤・兼務の職員を含めて受講管理表を更新する。
- 6月:感染症の研修・訓練(感染症のBCPと一体)。9月:災害のBCPの研修と、災害の訓練(単独の枠)。台風・大雨の前に行います。
- 10月:虐待防止の研修。同じ月から始まるカスハラ対策の周知(後述)とあわせると、ハラスメントの話題をまとめられます。
- 1月:予備月(欠席者の補講と記録の点検)と、指針・BCPの見直し。3月:年度の振り返りと翌年度の計画案。
- 委員会(別枠):感染対策=5・11月、虐待防止=6・12月。院内の委員会や研修と日程を合わせる場合は、訪問リハビリテーションの議題と出席者を記録に残します。
記録と保存:運営指導で見られる文書と、2年保存の記録
解釈通知は、虐待防止・感染症・BCPの研修の実施内容を記録することを求めています。運営指導の確認項目一覧は、訪問リハビリテーションの確認文書として、研修の計画及び実績、BCPの研修と訓練それぞれの計画及び実績、感染症の委員会・研修・訓練の実施状況と結果、虐待防止の委員会・指針・研修の計画及び実績・担当者がわかるものを挙げています。
第82条の2第2項は、訪問リハビリテーション計画、提供したサービスの記録、身体的拘束等の記録、市町村への通知の記録、苦情の記録、事故の状況と処置の記録を、その完結の日から2年間保存するよう求めています。「完結の日」は、利用者ごとに一連のサービス提供が終了した日で、診療記録とリハビリテーション会議の記録も含まれます(解釈通知)。研修の実施記録そのものの保存年限を定めた条文は、確認した範囲では見当たりませんでした。
研修の義務はなくても記録が要るもの:身体的拘束(第80条)と事故(第37条)
身体的拘束等は、令和6年度の改正で訪問リハビリテーションの基準に規定が入りました(老企第25号の新旧対照表で当該項が「新設」)。解釈通知は、切迫性・非代替性・一時性の3要件を満たすことの確認を、組織等として極めて慎重に行い、具体的な内容を記録しておくことを求めています。減算はありませんが、国のQ&A(Vol.1345 問3)は、訪問系サービス等について、3要件を満たした記録が確認できない場合は指導の対象になるとしています。
事故は、準用される第37条で、連絡と必要な措置、状況と処置の記録、賠償が義務です。利用者宅での転倒やリハビリテーション中の体調の急変を想定し、連絡と記録の手順を研修の題材に入れる例があります(当社の整理)。
研修をしないとどうなる?減算は2つ(いずれも1%)。BCPは令和7年4月から
率は令和6年度の改定事項(所定単位数の100分の1)、始まる月と終わる月は留意事項通知(老企第36号。訪問リハビリテーションの項は「訪問介護と同様」として参照)、さかのぼりは国のQ&A(Vol.1 問164〜問169)によります。減算は利用者全員が対象で、虐待があったかでなく、措置を講じているかで判定されます。
- 高齢者虐待防止措置未実施減算【1%】委員会を定期的に開催していない、指針を整備していない、年1回以上の研修を実施していない、担当者を置いていない事実が生じた場合、「事実が生じた月の翌月から改善が認められた月まで」減算します(留意事項通知)。4つの措置の一つでも欠ければ対象です(問167)。さかのぼらず、見つかった日の属する月が「事実が生じた月」で(問168)、改善計画の提出の有無にかかわらず翌月から減算し、3か月以降に改善が認められた月まで続きます(問169)。
- 業務継続計画未策定減算【1%】感染症・災害のどちらか、または両方の計画が未策定で、計画に従った措置も講じていない場合です(問164)。周知・研修・訓練・見直しの有無は要件ではありません。訪問リハビリテーション(介護予防を含む)は令和7年4月から適用で、令和7年3月31日までは条件なしで適用されませんでした(問165・改定事項・留意事項通知)。運営指導で見つかった時点ではなく「基準を満たさない事実が生じた時点」までさかのぼります(問166)。
- 虐待防止措置未実施減算の始まり:令和6年度改定の施行日は、訪問リハビリテーションが令和6年6月1日です(改定事項の「施行時期」。通所リハビリテーションなども同じ)。この減算だけについて訪問リハビリテーションの施行日を個別に書いた国の資料は、確認した範囲では見当たらず、この記事は改定事項の施行時期から読んでいます。
数え方の例と、減算のない義務
令和8年10月の運営指導で、虐待防止検討委員会が開かれていないと分かった場合、「事実が生じた月」は10月で、減算は11月分から始まります。改善が認められるのは早くて令和9年1月なので、少なくとも3か月分は減算されます(問168・問169)。BCPの計画が未策定と分かった場合は、令和7年4月までさかのぼる計算です(問166の訪問介護の例と同じ区分。当社の整理)。
基本部分は1回につき307単位(令和6年4月改定の算定構造。病院・診療所・老健・介護医療院とも同じ)で、1%は1回あたり約3単位です(当社の計算。端数処理は考慮していません)。感染症の研修・訓練、ハラスメント対策、研修の機会の確保は、確認した範囲では減算の対象ではありませんが、運営基準の義務なので、していなければ運営指導で改善を求められます。
回数の定めはないが、訪問リハビリテーションで押さえる分野
- ハラスメント対策:第30条第4項の準用で、性的な言動や優越的な関係を背景とした言動で従業者の就業環境が害されることを防ぐ措置が義務です。研修は周知・啓発の手段の一つです。解釈通知は、利用者やその家族等から受けるセクシュアルハラスメントも含まれると書いています。
- 研修の機会の確保と倫理・法令遵守:第30条第3項の準用です。運営指導の確認文書は「研修の計画及び実績がわかるもの」です。個人情報・秘密保持は第33条の準用で、従業者の秘密保持が義務ですが、研修の義務規定は見当たりません。
- 虐待の通報:居宅サービス事業は高齢者虐待防止法の「養介護事業」にあたり(第2条第5項第2号)、その業務に従事する人は、自分が働く事業の従業者による虐待を受けたと思われる高齢者を発見したとき、速やかに市町村へ通報する義務があります(第21条第1項)。研修で通報の手順を伝えておくと安心です(当社の整理)。
2026年の変更:カスハラ対策の義務化(10月1日)と、処遇改善加算の新設(6月1日)
2026年10月1日からは、改正労働施策総合推進法により、カスタマーハラスメント対策が全事業主の措置義務になりました。厚生労働省のリーフレットは、方針の明確化と周知・啓発、相談窓口の設置などを措置とし、対処の例に、可能な限り一人で対応させないことを挙げています。1人で訪問することの多いサービスでは、訪問を中止する基準と、事業所へ連絡する手順を決めておく必要があります(当社の整理)。パワハラ・セクハラ対策(第30条第4項の措置)とあわせて年間計画に入れておくと漏れを防げます。
2026年(令和8年)6月1日から適用される届出の留意点(Vol.1478)で、訪問リハビリテーションに介護職員等処遇改善加算が加わりました。厚生労働省の資料によると、これまで対象外だった訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援等が新たに対象になり、訪問リハビリテーション(介護予防も同様)の加算率は1.5%です。算定には、加算Ⅳに準ずる要件(キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ及び職場環境等要件。申請時点では令和8年度中の対応の誓約でも可)か、令和8年度特例要件のどちらかを満たします。キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱには「賃金体系等の整備及び研修の実施等」が入りますが、これは加算を算定するための要件で、運営基準の義務研修とは別です。
よくある失敗(当社の整理)
- 通所リハビリテーションの資料のBCP減算の起点(令和6年6月)をそのまま使う:訪問リハビリテーションは令和7年4月です。さかのぼりの計算がずれます。
- 施設向けの計画を流用する:事故防止や身体拘束の委員会・研修は定めがなく、年2回にそろえる必要もありません(年1回以上が基準で、多く行うのは自由です)。
- 院内感染対策の研修に出ただけで済ませる:訪問リハビリテーション分の参加者と内容が記録で説明できないと、運営指導で実施状況を示せません。
- 「虐待は起きていない」「BCPは災害だけ作った」で済ませる:虐待防止は4つの措置の一つでも欠ければ、BCPは感染症か災害の一方が未策定でも、減算の対象です。
無料の研修キットと年間計画表
虐待防止・感染症対策・BCP・ハラスメントのテーマ別に、読み上げ用レジュメ・確認テスト・実施記録様式・出席簿を無料で表示・印刷できます。「義務研修一覧表」でサービス類型に「訪問系」を選ぶと、当てはまる研修の一覧と、月を配置した年間計画表も作れます(無料・登録なし。入力内容はお使いのブラウザの中にだけ保存されます)。「訪問系」は訪問介護や訪問入浴介護なども含む区分で、認知症介護基礎研修は「対象外」と表示されます。医療法の研修は、この一覧表に含まれていません。
この記事で確認した一次資料
本文の条番号・回数・減算の率・Q&Aの問番号は、2026年10月27日に次の原文で確認しました(リンクは記事末尾の「出典(一次資料)」)。法令・介護報酬は改定されます。最終的な適用は指定権者(都道府県・市区町村)へご確認ください。
- 法令:省令第37号、省令第35号、医療法施行規則第1条の11、介護保険法第71条・第72条、高齢者虐待防止法第2条・第21条(e-Gov 法令検索の現行条文)。
- 通知・報酬ほか:老企第25号(Vol.934、令和6年度改正)、老企第36号、運営指導の確認項目、医政局長通知、令和6年度の改定事項、算定構造、Q&A(Vol.1 問164〜問170、Vol.1345)、令和8年度の資料とVol.1478、カスハラ対策リーフレット。
この記事を書いたチームは、note でも介護の仕事で考えたことを書いています。note をフォローする
出典(一次資料)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)(2026年10月27日確認)
- 指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第35号)(2026年10月27日確認)
- 介護保険最新情報 Vol.934(令和3年度改定・解釈通知改正)(2026年10月27日確認)
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(老企第25号)令和6年度改正の新旧対照表(別紙10・抄)(2026年10月27日確認)
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(老企第36号)令和6年度改正の新旧対照表(別紙1・抄)(2026年10月27日確認)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(PDF)(施行時期を含む・2026年10月27日確認)
- 厚生労働省「介護報酬の算定構造」(令和6年4月改定・PDF)(2026年10月27日確認)
- 介護保険最新情報 Vol.1225(令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)・令和6年3月15日)(問164〜問170・2026年10月27日確認)
- 介護保険最新情報 Vol.1345(令和6年度改定 Q&A)(2026年10月27日確認)
- 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」別添 確認項目及び確認文書(令和6年7月改訂・PDF)(2026年10月27日確認)
- 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第1条の11(医療の安全を確保するための措置・院内感染対策のための体制)(2026年10月27日確認)
- 厚生労働省医政局長通知「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の一部の施行について」(平成19年3月30日医政発第0330010号)平成28年改正の新旧対照表(別紙3・抄)=院内感染対策の研修の回数・記録(2026年10月27日確認)
- 介護保険法(平成9年法律第123号)(第71条・第72条・2026年10月27日確認)
- 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号)(第2条・第21条・2026年10月27日確認)
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」(社会保障審議会介護給付費分科会 第253回 資料1・令和8年1月16日)(2026年10月27日確認)
- 介護保険最新情報 Vol.1478(「介護給付費算定に係る体制等に関する届出等における留意点について」の一部改正=令和8年6月1日から適用・令和8年3月13日)(2026年10月27日確認)
- 厚生労働省リーフレット「令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます!」(2026年10月27日確認)
【免責事項】本キットは研修実施の参考資料です。法令・運営基準・介護報酬の内容は改定されることがあります。実際の運用にあたっての最終確認は、指定権者(都道府県・市区町村等の自治体)へのご確認をおすすめします。本キットの利用により生じた損害について、当社の損害賠償責任は、故意・重過失を除き購入代金の額を上限とします。