小規模多機能・看護小規模多機能の研修 必須項目 2026|年何回・委員会・しないとどうなる(1%の減算3つと遡り)
更新日:2026-10-26・約13分で読めます
小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護(以下まとめて「多機能系」)で運営基準が義務づける研修は、虐待防止・身体拘束・感染症・業務継続計画(BCP)の4分野と、認知症介護基礎研修を受講させる措置です。回数は身体拘束だけが年2回以上で、ほかの3分野は年1回以上です。委員会の頻度、減算(いずれも所定単位数の1%)とさかのぼり、運営推進会議との関係、職員が少ない事業所での進め方、2026年の変更を、省令・解釈通知・算定構造・国のQ&Aの原文で整理しました(2026年10月時点)。
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まず結論:必須は4分野の研修と認知症介護基礎研修。年2回は身体拘束だけ
小規模多機能型居宅介護の運営基準は平成18年厚生労働省令第34号(指定地域密着型サービス基準)の第4章、看護小規模多機能型居宅介護は第8章です。研修の義務は、①高齢者虐待防止、②身体的拘束等の適正化、③感染症の予防とまん延防止、④業務継続計画(BCP)の4分野と、⑤医療・福祉関係の資格を持たない従業者に認知症介護基礎研修を受講させる措置です。
回数は、解釈通知で身体拘束の研修が「年2回以上」と新規採用時に必ず、虐待防止・感染症・BCPの研修が年1回以上です。虐待防止の研修の回数は、国のQ&A(介護保険最新情報 Vol.1345)が小規模多機能・看護小規模多機能を「年に1回以上」のサービスに挙げています。グループホームや特養などの「年に2回以上」とは違います。
研修や委員会が欠けたときの減算は3つで、身体拘束・虐待防止・BCPの計画未策定のいずれも所定単位数の1%です(令和6年度の介護報酬の算定構造)。さかのぼって減算されるのはBCPだけで、身体拘束と虐待防止は運営指導などで見つかった月が起点になります。
早見表:必須の研修5つの条番号・回数・新規採用時・減算
条番号は平成18年厚生労働省令第34号のもの(小規模多機能/看護小規模多機能)です。虐待防止・感染症・BCP・認知症介護基礎研修は令和6年4月から完全義務、身体拘束の委員会・指針・研修は令和6年度改定で加わり、令和7年3月31日までは努力義務でした。
- 高齢者虐待防止【義務】第88条/第182条で準用する第3条の38の2:委員会(定期的)・指針・研修・担当者の4つ。研修は年1回以上と、新規採用時に必ず。4つのどれかが欠けると所定単位数の1%減算。
- 身体的拘束等の適正化【義務】第73条第5〜7号/第177条第5〜7号:緊急やむを得ない場合を除き禁止。行う場合は態様・時間・心身の状況・緊急やむを得ない理由を記録。委員会(3か月に1回以上)・指針・研修が義務で、研修は年2回以上と、新規採用時に必ず。記録か措置のどれかが欠けると所定単位数の1%減算。
- 感染症の予防とまん延防止【義務】第88条/第182条で準用する第33条第2項:委員会(おおむね6か月に1回以上)・指針・研修・訓練。研修と訓練は各年1回以上で、新規採用時の感染対策研修は「望ましい」。確認した国の資料の範囲では減算なし。
- 業務継続計画(BCP)【義務】第88条/第182条で準用する第3条の30の2:感染症と災害の計画の策定、従業者への周知、研修・訓練(各年1回以上)、定期的な見直し。新規採用時の研修は「望ましい」。計画の未策定は所定単位数の1%減算。
- 認知症介護基礎研修【受講させる措置が義務】第88条/第182条で準用する第30条第3項:看護師・准看護師・介護福祉士・介護支援専門員・初任者研修修了者などの資格を持たない従業者が対象。新しく採用した人は採用後1年以内に受講させます。減算なし。
根拠:省令の条文と「準用」の読み方
身体拘束について、第73条第7号(看護小規模多機能は第177条第7号)は「身体的拘束等の適正化を図るため、次に掲げる措置を講じなければならない」として、イ 委員会を「三月に一回以上開催するとともに、その結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること」、ロ 指針を整備すること、ハ「研修を定期的に実施すること」の3つを挙げています。同条第5号は緊急やむを得ない場合を除く身体的拘束等の禁止、第6号は行う場合の記録です。
ほかの分野は、第88条(看護小規模多機能は第182条)が定期巡回・随時対応型訪問介護看護の第3条の30の2・第3条の38の2と、地域密着型通所介護の第30条・第33条を準用しています。どの条文も研修は「定期的に」とだけ書かれ、年何回かは解釈通知が示しています。
解釈通知は、虐待防止は「定期巡回・随時対応型訪問介護看護と同様」、感染症とBCPは「地域密着型通所介護と同様」として、それぞれの項を参照させています。参照先の書き方が、虐待防止は「定期的な研修(年1回以上)を実施するとともに、新規採用時には必ず虐待の防止のための研修を実施することが重要」、感染症は「定期的な教育(年1回以上)を開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施することが望ましい」、BCPは「定期的(年1回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施することが望ましい」です。身体拘束は多機能系の項に直接書かれ、「定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず身体的拘束等の適正化の研修を実施することが重要」とされています。
委員会は3つ+生産性向上。運営推進会議は2か月に1回
多機能系で開く委員会は、身体拘束・感染症・虐待防止の3つと、令和6年度改定で加わった生産性向上の委員会です。いずれもテレビ電話装置等を使って開くことができます(省令)。
- 身体的拘束等適正化検討委員会:3か月に1回以上(第73条第7号イ/第177条第7号イ)。管理者と従業者で構成するほか、第三者や専門家(精神科専門医など)を加えるのが望ましいとされ、関係する職種や扱う事項が相互に関係の深いほかの会議体と一体的に設置・運営してよいとされています(解釈通知)。
- 感染対策委員会:おおむね6か月に1回以上の定期開催に加え、感染症が流行する時期などは必要に応じて随時開きます。感染対策担当者を決めておくことが必要で、ほかの会議体と一体的に設置・運営してよいとされています(解釈通知)。
- 虐待防止検討委員会:定期的に開催(回数の定めなし)。管理者を含む幅広い職種で構成し、結果を従業者に周知します。ほかの会議体と一体的に設置・運営してよいとされています(解釈通知)。
- 生産性向上の委員会:小規模多機能は第86条の2、看護小規模多機能は第182条で準用する第86条の2。定期的に開催します。令和6年厚生労働省令第16号の附則第4条により、令和9年(2027年)3月31日までは努力義務です。
- 運営推進会議:利用者・家族・地域住民の代表者・市町村または地域包括支援センターの職員・知見を有する者などで構成し、おおむね2か月に1回以上、通いサービスと宿泊サービスの提供回数などの活動状況を報告して評価を受けます(第88条/第182条で準用する第34条。地域密着型通所介護の「六月」を「二月」と読み替え)。記録を作って公表し、2年間保存します。
運営推進会議は委員会とは別の会議:外部評価は年1回以上、合同開催は半数まで
運営推進会議は委員会とは別の会議です。解釈通知は、自己評価を年1回以上行って運営推進会議で外部評価を受けること、合同開催は年度の開催回数の半数までとし、外部評価の回は単独開催とすることを求めています。
新規採用時の研修:必ず行うのは虐待防止と身体拘束
新規採用時に「必ず」行うのは虐待防止と身体拘束で、感染症とBCPは「望ましい」です。グループホームの解釈通知は感染症・BCPも新規採用時に行う書き方なので、グループホーム向けの資料を流用する場合は注意してください。
認知症介護基礎研修は、介護に直接携わる従業者のうち医療・福祉関係の資格を持たない人に受講させる措置が義務です。対象外は、看護師・准看護師・介護福祉士・介護支援専門員・実務者研修や初任者研修の修了者・社会福祉士・理学療法士などです。新卒・中途を問わず、新しく採用した資格のない従業者は、採用後1年を経過するまでに受講させることとされています(解釈通知)。
しないとどうなる?減算は3つ(いずれも1%)。さかのぼるのはBCPだけ
率は令和6年度の介護報酬の算定構造(小規模多機能型居宅介護費・複合型サービス費の頁)、始まる月と終わる月は地域密着型サービスの留意事項通知の令和6年度改正、さかのぼりは国のQ&Aによります。
- 身体拘束廃止未実施減算【所定単位数の1%】留意事項通知は、記録を行っていない、委員会を3月に1回以上開催していない、指針を整備していない、または「定期的な研修を実施していない事実が生じた場合、速やかに改善計画を市町村長に提出した後、事実が生じた月から3月後に改善計画に基づく改善状況を市町村長に報告することとし、事実が生じた月の翌月から改善が認められた月までの間について、利用者全員について所定単位数から減算する」としています(看護小規模多機能は同じ扱いを準用)。身体的拘束等をしていなくても、措置が欠けていれば対象です(Vol.1345 問1)。さかのぼって適用することはできず、見つかった日の属する月が「事実が生じた月」です(同 問2)。看護小規模多機能の算定構造には「令和7年4月1日から適用する」と注記されています。
- 高齢者虐待防止措置未実施減算【所定単位数の1%】委員会を定期的に開催していない、指針を整備していない、「年1回以上の研修を実施していない」、担当者を置いていない事実が生じた場合で、改善計画と報告、翌月から改善が認められた月までの減算は身体拘束と同じ書き方です(留意事項通知)。虐待が起きていなくても、4つの措置の一つでも欠ければ対象です(令和6年度改定 Q&A Vol.1 問167)。さかのぼらず、見つかった日の属する月が「事実が生じた月」で(問168)、改善計画を出したかどうかにかかわらず翌月から減算し、事実が生じた月から3か月以降に改善が認められた月まで続きます(問169)。
- 業務継続計画未策定減算【所定単位数の1%】感染症・災害のどちらか、または両方の計画が未策定で、計画に従った措置も講じていない場合(問164)。周知・研修・訓練・見直しをしているかどうかは要件ではありません。多機能系は令和6年4月から対象で、令和7年3月31日までは感染症の指針と非常災害の計画があれば減算しない経過措置がありました(問165)。運営指導で見つかった時点ではなく「基準を満たさない事実が生じた時点」までさかのぼり(問166)、留意事項通知は「その翌月(基準を満たさない事実が生じた日が月の初日である場合は当該月)から基準に満たない状況が解消されるに至った月まで」利用者全員について減算するとしています。
数え方の例と、減算のない義務
令和8年10月の運営指導で身体拘束の委員会が3か月以上開かれていないと分かった場合、「事実が生じた月」は10月で、減算は11月分から始まります。改善状況の報告は事実が生じた月から3か月後なので、改善が認められるのは早くて令和9年1月で、少なくとも3か月分は減算されます(留意事項通知と Vol.1345 問2 にもとづく数え方。虐待防止の減算も問168・問169により同じ数え方です)。BCPは見つかった月より前までさかのぼるため、計画の有無を最優先で確かめてください。
感染症の研修・訓練、認知症介護基礎研修、ハラスメント対策、非常災害の訓練は、確認した国の資料の範囲では減算の対象ではありませんが、運営基準の義務なので、していなければ運営指導で改善を求められます。
職員が少ない・勤務が分かれる事業所での実施と記録
小規模多機能の登録定員は29人以下(サテライト型は18人以下)で(第66条)、職員は通い・訪問・宿泊に分かれて勤務します。国のQ&A(令和6年度改定 Q&A Vol.1 問170)は、小規模な事業所でも規模にかかわらず虐待防止の委員会と研修を定期的に行うよう求め、法人内の複数事業所での合同開催、感染対策委員会などほかの委員会との合同開催、都道府県や市町村の研修会への参加などを例に挙げています。合同で行う場合は、参加した各事業所の従事者と実施した内容が記録で確かめられるようにしておくこととされています。
虐待防止・身体拘束・感染症の研修は事業所内で行うもので差し支えなく、実施内容の記録が求められます。感染症のBCPの研修・訓練は感染症の研修・訓練と、災害のBCPの訓練は非常災害の訓練と、一体的に行ってよいとされています(解釈通知)。訪問や夜勤で全員がそろいにくい場合は、同じ内容を複数回に分けて行い、回ごとに出席者を記録しておくと、全員の受講を示しやすくなります。
研修の形の義務ではないが、多機能系で押さえる4つ
次の4つは研修の回数の定めはありませんが、運営基準の義務です。年間計画に一緒に入れておくと漏れを防げます。
- ハラスメント対策【措置義務】第30条第4項の準用:職場のセクハラ・パワハラを防ぐ方針の明確化等の措置。研修は周知・啓発の手段の一つです。
- 研修の機会の確保【義務】第30条第3項前段の準用:倫理・法令遵守や個人情報保護の研修は、この枠で計画に入れます。
- 非常災害対策【訓練が義務】第82条の2(看護小規模多機能は準用):計画と通報・連携体制を定期的に周知し、避難・救出などの訓練を定期的に行います(回数の記載なし)。
- 事故発生時の対応【義務】第3条の38の準用:市町村・家族などへの連絡、記録(2年間保存)、賠償。事故防止の委員会・指針・研修・担当者の規定は多機能系の運営基準にはありません(特養・老健・介護医療院の義務です)。
2026年の変更:カスハラ対策の義務化(10月1日)と、2027年4月の委員会
- カスハラ対策(2026年10月1日から):改正労働施策総合推進法により、事業主が講じなければならない措置になりました。厚生労働省のリーフレットは、顧客等に福祉施設などの利用者を含むとしています。訪問や宿泊での利用者・家族からの言動も想定し、ハラスメント対策とあわせて計画に入れておくと漏れを防げます。
- 2027年(令和9年)4月1日から:生産性向上の委員会の努力義務の期間が終わり、本来の義務になります(令和6年厚生労働省令第16号 附則第4条)。
記録の残し方と、無料の研修キット
委員会の議事録、指針、研修ごとの実施記録・出席簿・資料を分野別にまとめ、認知症介護基礎研修は対象者ごとの受講状況を一覧にしておくと、運営指導で減算の要件を一つずつ示せます。身体的拘束等・事故・運営推進会議の記録は、完結の日から2年間の保存が義務です(第87条第2項・第181条第2項)。
このサイトでは、虐待防止・身体拘束・感染症対策・BCP・ハラスメント・認知症介護基礎研修などのテーマ別に、読み上げ用レジュメ・確認テスト・実施記録様式・出席簿(認知症介護基礎研修は受講案内と受講記録様式)を無料で表示・印刷できます。「義務研修一覧表」でサービス類型に「多機能系」を選ぶと、当てはまる研修だけの一覧と、頻度に応じて月を配置した年間計画表も作れます(無料・登録なし。入力内容はお使いのブラウザの中にだけ保存されます)。
この記事で確認した一次資料
本文の条番号・回数・委員会・減算の率・Q&Aの問番号は、2026年10月26日に次の原文で確認しました(リンクは記事末尾の「出典(一次資料)」)。法令・介護報酬は改定されます。最終的な適用は指定権者(市町村)へご確認ください。
- 省令:平成18年厚生労働省令第34号(第4章・第8章と準用される条)、令和6年厚生労働省令第16号 附則第3条・第4条。
- 解釈通知:地域密着型サービスの基準解釈通知の令和3年度改正(介護保険最新情報 Vol.934)と令和6年度改正の新旧対照表。
- 報酬:介護報酬の算定構造(令和6年4月)、地域密着型サービスの留意事項通知の令和6年度改正、令和6年度改定 Q&A(Vol.1)問164〜問170、介護保険最新情報 Vol.1345。
- 2026年の変更:厚生労働省のカスハラ対策リーフレット。
この記事を書いたチームは、note でも介護の仕事で考えたことを書いています。note をフォローする
出典(一次資料)
- 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)
- 介護保険最新情報 Vol.934(令和3年度改定・解釈通知改正)
- 厚生労働省「指定地域密着型サービス及び指定地域密着型介護予防サービスに関する基準について」(老計発第0331004号ほか)令和6年度改正の新旧対照表(別紙11・抄)
- 厚生労働省「介護報酬の算定構造」(令和6年4月改定・PDF)
- 厚生労働省「指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準及び指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(老計発第0331005号ほか)令和6年度改正の新旧対照表(別紙5・抄)
- 介護保険最新情報 Vol.1225(令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)・令和6年3月15日)
- 介護保険最新情報 Vol.1345(令和6年度改定 Q&A)
- 厚生労働省リーフレット「令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます!」
【免責事項】本キットは研修実施の参考資料です。法令・運営基準・介護報酬の内容は改定されることがあります。実際の運用にあたっての最終確認は、指定権者(都道府県・市区町村等の自治体)へのご確認をおすすめします。本キットの利用により生じた損害について、当社の損害賠償責任は、故意・重過失を除き購入代金の額を上限とします。