特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム)の研修 必須項目 2026|年何回・委員会・しないとどうなる(10%・3%・1%と遡り)
更新日:2026-10-27・約20分で読めます
特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホームなど)で運営基準が義務づける研修は、虐待防止・身体拘束・感染症・業務継続計画(BCP)の4分野と、認知症介護基礎研修を受講させる措置です。4分野はいずれも年2回以上で、新規採用時は虐待防止と身体拘束が「必ず」、感染症とBCPが「実施すること」です。委員会の頻度、減算(10%・3%・1%)と遡り、外部サービス利用型・地域密着型特定施設・介護予防の違い、有料老人ホームの標準指導指針、2026年の変更を、省令と通知の原文で整理しました(2026年10月時点)。
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まず結論:必須は4分野の研修(各年2回以上+新規採用時)と認知症介護基礎研修
特定施設入居者生活介護の運営基準は、平成11年厚生省令第37号(指定居宅サービス等基準)の第12章(第174条から)です。特定施設とは、有料老人ホームのほか、養護老人ホーム・軽費老人ホームで、特定施設入居者生活介護の指定を受けたものをいいます(介護保険法第8条第11項、同法施行規則第15条)。入居者が要介護者とその配偶者などに限られ定員29人以下のものは「地域密着型特定施設」で、運営基準は平成18年厚生労働省令第34号の第6章(第109条から)です。介護予防特定施設は、平成18年厚生労働省令第35号の第11章(第230条から)です。
研修の義務は、①高齢者虐待防止、②身体的拘束等の適正化、③感染症の予防とまん延防止、④業務継続計画(BCP)の4分野と、⑤医療・福祉関係の資格を持たない従業者に認知症介護基礎研修を受講させる措置です。4分野の研修は、解釈通知でいずれも「年2回以上」とされています。虐待防止は、訪問介護や通所介護の年1回以上と違い、特養・老健・グループホームと同じです(介護保険最新情報 Vol.1345)。感染症とBCPは訓練も各年2回以上です。
新規採用時の扱いは、分野で書き分けられています。虐待防止と身体拘束は「新規採用時には必ず…実施することが重要」、感染症は「新規採用時には感染対策研修を実施すること」、BCPは「新規採用時には別に研修を実施すること」です。感染症とBCPまで「必ず」と書いた資料は、特養・老健・介護医療院向けの書き方です。
委員会は、感染症が「おおむね6月に1回以上」で、特養など施設系の「おおむね3月に1回以上」とは違います。事故防止の委員会・研修は特定施設の省令にはありませんが、有料老人ホームには、国の標準指導指針が事故発生の防止の委員会と研修を求めています。減算は3つで、身体拘束が所定単位数の10%、虐待防止が1%、BCPの計画未策定が3%です。さかのぼって減算されるのはBCPだけで、身体拘束と虐待防止は運営指導などで見つかった月が起点になります。
早見表:義務の研修5つの条番号・回数・新規採用時・減算
条番号は平成11年厚生省令第37号(特定施設入居者生活介護)のものです。虐待防止・感染症・BCP・認知症介護基礎研修は令和3年度改定で義務化され、3年の経過措置を経て令和6年4月から完全義務です(令和3年厚生労働省令第9号 附則)。身体拘束の委員会・指針・研修は平成30年度改定から義務です。
- 高齢者虐待防止【義務】第192条で準用する第37条の2:委員会(定期的)・指針・研修・担当者の4つ。研修は年2回以上と、新規採用時に必ず。4つのどれかが欠けると所定単位数の1%減算。
- 身体的拘束等の適正化【義務】第183条第4〜6項:緊急やむを得ない場合を除き禁止。行う場合は態様・時間・心身の状況・緊急やむを得ない理由を記録。委員会(3月に1回以上)・指針・研修が義務で、研修は年2回以上と、新規採用時に必ず。記録か措置のどれかが欠けると所定単位数の10%減算(外部サービス利用型と短期利用は1%)。
- 感染症の予防とまん延防止【義務】第192条で準用する第104条第2項:委員会(おおむね6月に1回以上)・指針・研修・訓練。研修と訓練は各年2回以上で、新規採用時には「感染対策研修を実施すること」。確認した国の資料の範囲では減算なし。
- 業務継続計画(BCP)【義務】第192条で準用する第30条の2:感染症と災害の計画の策定、従業者への周知、研修・訓練(各年2回以上)、定期的な見直し。新規採用時は「別に研修を実施すること」。計画の未策定は所定単位数の3%減算。
- 認知症介護基礎研修【受講させる措置が義務】第190条第4項:看護師・准看護師・介護福祉士・介護支援専門員・初任者研修修了者などの資格を持たない従業者が対象。新しく採用した人は採用後1年以内に受講させます。減算なし。
根拠:省令の条文と「準用」の読み方(特定施設・外部サービス利用型・地域密着型・介護予防)
身体拘束は、第183条が特定施設に直接定めています。第6項は「身体的拘束等の適正化を図るため、次に掲げる措置を講じなければならない」として、委員会を「三月に一回以上開催する」こと、指針の整備、研修を「定期的に実施する」ことの3つを挙げます。第4項は禁止、第5項は行う場合の記録です。認知症介護基礎研修は第190条第4項、ハラスメント対策は同条第5項です。
ほかの分野は、第192条が準用しています。第192条は、訪問介護の第30条の2(BCP)・第37条(事故発生時の対応)・第37条の2(虐待の防止)、通所介護の第103条(非常災害対策)・第104条(衛生管理等)、短期入所生活介護の第139条の2(生産性向上の委員会)などを準用します。どの条文も研修は「定期的に」とだけ書かれ、年何回かは解釈通知(老企第25号)が示しています。
解釈通知は、特定施設の項に直接書いています。虐待防止は「定期的な研修(年2回以上)を実施するとともに、新規採用時には必ず…実施することが重要」、感染症は「定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施すること」、BCPは「定期的(年2回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施すること」、身体拘束は年2回以上と新規採用時の「必ず…重要」です(令和3年度改正=Vol.934。身体拘束は平成30年度改正)。いずれも実施内容の記録を求めています。
外部サービス利用型(第192条の2以下)は、特定施設の従業者が計画の作成・安否確認・生活相談(基本サービス)を行い、介護は委託先の居宅サービス事業者が提供する型です。研修の条文は第192条の12の準用で、BCP・事故と虐待防止・非常災害・感染症・身体拘束・勤務体制(認知症介護基礎研修とハラスメント)が、特定施設と同じ内容で当てはまります。生産性向上の委員会(第139条の2)は、準用の列挙に入っていません。委託先は別の事業者として自社の基準を守ります(本記事では扱いません)。
地域密着型特定施設(定員29人以下)は、平成18年厚生労働省令第34号の第6章です。身体拘束は第118条第4〜6項、認知症介護基礎研修とハラスメント対策は第126条第4項・第5項で、特定施設と同じ内容です。ほかは第129条の準用で、BCP(第3条の30の2)、虐待防止(第3条の38の2)、事故(第3条の38)、非常災害(第32条)、感染症(第33条)、運営推進会議(第34条)、生産性向上の委員会(第86条の2)などが当てはまります。解釈通知(Vol.934)は、BCP・感染症・虐待防止を「認知症対応型共同生活介護と同様」としていて、年2回以上です。身体拘束も、平成30年度の通知が年2回以上と新規採用時の「必ず」を定めています。
介護予防特定施設は、平成18年厚生労働省令第35号の第239条(身体拘束)、第241条第4項・第5項(認知症介護基礎研修・ハラスメント)、第245条の準用(ほかの分野)に同じ措置があり、Vol.1345 でも年2回以上のサービスに挙がっています。
委員会は4つ。ほかの会議とまとめてよいか
特定施設で開く委員会は、身体拘束・感染症・虐待防止の3つと、令和6年度改定で加わった生産性向上の委員会です。いずれもテレビ電話装置等を使って開くことができます(省令)。
- 身体的拘束等適正化検討委員会:3月に1回以上(第183条第6項第1号)。施設長・看護職員・介護職員・生活相談員などの幅広い職種で構成し、担当者を決めます(令和6年度の改正で「専任の」が外れ、職務に支障がなければ他の担当との兼務も差し支えないとされました)。第三者や専門家(精神科専門医など)を加えるのが望ましいとされます(解釈通知)。
- 感染対策委員会:おおむね6月に1回以上の定期開催に加え、流行する時期などは必要に応じて随時開きます。感染対策担当者を決めておくことが必要です(解釈通知)。
- 虐待防止検討委員会:定期的に開催(回数の定めなし)。管理者を含む幅広い職種で構成し、結果を従業者に周知します(解釈通知)。
- 生産性向上の委員会(第192条で準用する第139条の2):定期的に開催し、頻度は形骸化しないよう事業所の状況を踏まえて決めるのが望ましいとされます。令和6年厚生労働省令第16号の附則第4条により、令和9年(2027年)3月31日までは努力義務です。外部サービス利用型は、準用の列挙に入っていません。
- まとめ方:身体拘束・虐待防止・感染対策の委員会は、関係の深いほかの会議体と一体的に設置・運営してよいとされます。感染症の措置・虐待防止の委員会・BCPの研修・訓練は、ほかのサービス事業者との連携等で行うこともできます(解釈通知)。
- 事故防止の委員会は、特定施設の省令にはありません(第37条は事故発生時の連絡・措置・記録・賠償だけ)。安全管理体制未実施減算も、特定施設の報酬の注には見当たりません。有料老人ホームの指針は、次の節のとおり別に求めています。
有料老人ホームの標準指導指針:省令にない事故防止の委員会・研修も求められる
特定施設の指定を受けた有料老人ホームは、老人福祉法上の有料老人ホームでもあります。厚生労働省は「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」(平成14年7月18日老発第0718003号。最終改正は令和6年12月6日の老発1206第2号)を、都道府県などへの技術的な助言として示しています。研修に関する記載は次のとおりです(項番号は確認した本文のもの)。
- 職員の研修(7⑵):採用時と採用後に定期的に研修を行うこと。生活相談員と直接処遇職員には、高齢者の心身の特性、介護の知識・技術、作業手順などの研修を行うこと。資格のない介護職員に認知症介護基礎研修を受講させる措置も求めています。
- 業務継続計画(8⑸)・非常災害対策(8⑹)・衛生管理等(8⑺)・虐待の防止(9⑷)・身体的拘束等の適正化(9⑸〜⑺):省令と同じ内容です。指針は研修を「定期的に」と書くだけで、年2回以上は解釈通知の定めです。
- 事故発生の防止の対応(12⑻):事故発生の防止の指針の整備、事故やその危険のある事態の報告・分析・改善策の周知の体制、「事故発生の防止のための委員会及び職員に対する研修を定期的に行うこと」、担当者の配置。特定施設の省令にこの規定はないので、介護付き有料老人ホームでは年間計画に入れておくのが安全です(当社の提案)。
新規採用時の研修:虐待防止と身体拘束は「必ず」、感染症とBCPは「実施すること」
新規採用時の研修は、省令ではなく解釈通知が書いていて、サービスと分野で言い方が違います。特定施設は、虐待防止と身体拘束が「必ず…重要」、感染症が「感染対策研修を実施すること」、BCPが「別に研修を実施すること」です。訪問・通所・短期入所の感染症とBCPは「望ましい」、特養・老健・介護医療院の感染症は「必ず…重要」で、特定施設はそのどちらでもありません。
この記事の2026年10月22日版は、感染症とBCPの新規採用時を「必ず」と書いていました。2026年10月27日に原文(Vol.934 の特定施設の項)で確かめて直しました。計画は、4分野とも新規採用時に行う前提で組んでおくと、どちらの書き方にも合います。
認知症介護基礎研修は、介護に直接携わる従業者のうち、看護師・准看護師・介護福祉士・介護支援専門員・実務者研修や初任者研修の修了者などの資格を持たない人に受講させる措置が義務です。新卒・中途を問わず、新しく採用した資格のない従業者は、採用後1年を経過するまでに受講させることとされています(解釈通知)。
身体拘束の適正化の中身:3つの措置と、緊急やむを得ない場合の記録
解釈通知は、委員会の目的を、拘束の事例を施設全体で共有して再発防止につなげることとし、懲罰が目的ではないと書いています。想定する流れは、報告の様式を整える、従業者が発生ごとに記録して報告する、委員会で集計・分析して適正化策を検討する、結果を周知する、策を講じた後に効果を評価する、です。指針には、基本的考え方、委員会の組織、研修の基本方針、報告方法、発生時の対応、入居者等への閲覧などを盛り込み、研修は施設内で行って差し支えないとされています。
緊急やむを得ない場合の記録について、有料老人ホームの標準指導指針は、切迫性・非代替性・一時性の3要件を満たすことを組織として慎重に確認し、その具体的な内容を記録しておくことが必要としています(9⑹)。特定施設の減算の要件は、留意事項通知では第183条第5項の記録と第6項の措置(委員会・指針・研修)で、3要件の記録そのものが要件かどうかは、特定施設については国の資料で明記されていません(2026年10月時点)。
年間の組み方:月割りの例(当社の提案)
月の配置は法令の定めではなく当社の提案です。4月始まりの年度の例で、行事や人員に合わせて動かしてください。全員がそろいにくい場合は、同じ内容を複数回に分け、回ごとに出席者を記録します。
- 4月:年間計画の確定。入職者への入職時研修(4分野とも新規採用時に行う)。無資格の直接介護職員の認知症介護基礎研修の対象者を洗い出す。
- 5月:虐待防止①・身体拘束①(時間と記録は分ける)。6月:感染症の研修・訓練①(感染症のBCPと一体。流行期の前)。
- 7月:BCPの研修①・災害の訓練①(非常災害対策の訓練と一体にでき、台風・大雨の前)。8月:事故防止①(指針)と、倫理・個人情報の研修。
- 9月:予備月。10月:虐待防止②・身体拘束②。11月:感染症の研修・訓練②。12月:BCPの研修②・災害の訓練②・事故防止②。
- 1月:指針とBCPの見直し。2月:予備月。3月:年度の振り返りと翌年度の計画案づくり。
- 委員会(別枠):身体拘束=4・7・10・1月。感染対策=5・11月。虐待防止=6月・12月。事故防止(指針)=8月・2月。生産性向上=定期的(例:年2回)。
記録と保存:身体拘束・事故の記録は完結の日から2年
委員会の議事録、指針、研修ごとの実施記録・出席簿を分野別にまとめ、認知症介護基礎研修は従業者ごとの受講状況を一覧にしておくと、運営指導で減算の要件を一つずつ示せます。運営指導の確認文書にも、研修・訓練の計画と実績、身体拘束の委員会の開催状況と結果、指針などが並びます(運営指導マニュアル別添)。
特定施設サービス計画、身体的拘束等の態様・時間・心身の状況・緊急やむを得ない理由の記録、事故の状況と処置の記録などは、その完結の日から2年間の保存が義務です(第191条の3第2項)。「完結の日」は、利用者ごとに、契約の終了(解約・解除、他の施設への入所、死亡、自立を含む)で一連のサービス提供が終わった日です(解釈通知)。
研修をしないとどうなる?減算は3つ。さかのぼるのはBCPだけ
率は令和6年度の報酬改定の告示(特定施設入居者生活介護費の注)、期間は留意事項通知(老企第40号)、さかのぼりは国のQ&Aと運営指導マニュアルによります。減算は入居者全員が対象で、実際に虐待や拘束があったかでなく、措置を講じているかで判定されます。
- 身体拘束廃止未実施減算【所定単位数の10%(特定施設入居者生活介護費)。外部サービス利用型と短期利用は1%で、令和7年4月1日から適用】身体拘束の記録がない、または委員会(3月に1回以上)・指針・定期的な研修のどれかが欠けている場合で、身体的拘束等をしていなくても対象です(Vol.1345 問1は、施設系・居住系も同様としています)。速やかに改善計画を都道府県知事(地域密着型は市町村長)に出し、事実が生じた月から3月後に改善状況を報告します。減算は事実が生じた月の翌月から改善が認められた月まで続き、さかのぼって適用することはできません。見つかった日の属する月が「事実が生じた月」で、最低3か月です(Vol.1345 問2、運営指導マニュアル)。
- 高齢者虐待防止措置未実施減算【所定単位数の1%】委員会の定期的な開催・指針の整備・研修の実施・担当者の配置のどれかが欠けている場合で、虐待が起きていなくても対象です(Q&A Vol.1 問167)。減算の判断に使う研修の回数は、Vol.1345 が示すとおり特定施設では年2回以上です(留意事項通知が準用する短期入所生活介護の項は「年1回以上」と書いていますが、Q&Aが、回数はサービスごとの解釈通知を見るよう示しています)。さかのぼらず、見つかった日の属する月が「事実が生じた月」で(問168)、改善計画の提出にかかわらず翌月から減算し、3か月以降に改善が認められた月まで続きます(問169)。
- 業務継続計画未策定減算【所定単位数の3%】感染症・災害のどちらか、または両方の計画が未策定で、計画に従った措置も講じていない場合です(問164)。周知・研修・訓練・見直しの有無は要件ではありません。令和6年4月から対象で、令和7年3月31日までは感染症の指針と非常災害の計画があれば減算しない経過措置がありました(問165)。見つかった時点ではなく「基準を満たさない事実が生じた時点」までさかのぼります(問166)。留意事項通知は、その翌月(月の初日なら当月)から解消された月まで減算するとしています。
数え方の例と、減算のない義務
令和8年10月の運営指導で、身体拘束の委員会が開かれていないと分かった場合、「事実が生じた月」は10月で、減算は11月分から始まります。改善が認められるのは早くて3か月後の令和9年1月なので、少なくとも3か月分は減算されます(Vol.1345 問2、運営指導マニュアルにもとづく数え方。虐待防止も問168・問169で同じです)。BCPは見つかった月より前までさかのぼるため、計画の有無を最優先で確かめてください。
感染症の研修・訓練、認知症介護基礎研修、ハラスメント対策、非常災害の訓練は、確認した国の資料の範囲では減算の対象ではありませんが、運営基準の義務なので、していなければ運営指導で改善を求められます。
回数の定めはないが、特定施設で押さえる措置
次の措置は「研修を年何回」という形ではありませんが、運営基準の義務です。年間計画に一緒に入れておくと漏れを防げます。
- ハラスメント対策【措置義務】第190条第5項:セクハラ・パワハラを防ぐ方針の明確化等の措置。研修は周知・啓発の手段の一つで、回数の定めはありません。
- 研修の機会の確保【義務】第190条第4項前段:倫理・法令遵守や個人情報保護の研修は、この枠で計画に入れます。
- 非常災害対策【訓練が義務】第192条で準用する第103条:避難・救出その他の訓練を定期的に行う義務(回数の記載なし)。事故発生時の対応(準用する第37条)と協力医療機関(第191条)も、特定施設の義務です。
- 看取りの職員研修:看取り介護加算(Ⅰ)(Ⅱ)の施設基準に「看取りに関する職員研修を行っていること」があります(平成27年厚生労働省告示第96号 第24号)。算定しなければ研修義務はありません。地域密着型特定施設の基準は別の告示で、確認していません。
- 運営推進会議(地域密着型特定施設のみ):利用者・家族・地域住民の代表者・市町村の職員などでつくる会議で、おおむね2か月に1回以上、活動状況を報告して評価を受け、要望や助言を聴き、記録を公表します(第129条で準用する第34条第1〜2項。「六月」を「二月」と読み替え)。複数事業所の合同開催は年度の開催回数の半数まで(解釈通知)。地域密着型でない特定施設に、この会議の規定はありません。
2026年・2027年の変更:処遇改善加算の拡充、カスハラ対策の義務化(10月1日)、2027年4月の委員会
令和8年度の介護報酬改定(期中改定)で、処遇改善加算の対象が広がり、加算率が引き上げられて、上乗せ区分(加算Ⅰロ・Ⅱロ)が設けられました。改定の資料に、研修の義務や減算を見直す記載はありません(2026年10月時点)。
- 特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護の加算率:Ⅰイ14.8%、Ⅰロ15.9%、Ⅱイ14.2%、Ⅱロ15.3%、Ⅲ13.0%、Ⅳ10.8%(介護予防も同様)。「研修の実施等」(キャリアパス要件)は加算の要件で、運営基準の義務研修とは別です。
- カスハラ対策(2026年10月1日から):改正労働施策総合推進法により、事業主が講じなければならない措置になりました。厚生労働省のリーフレットは、顧客等に施設(福祉施設を含む)の利用者を含むとし、方針の明確化と周知・啓発、相談窓口の設置などを挙げています。第190条第5項のハラスメント対策とあわせて計画に入れておくと漏れを防げます。
- 2027年(令和9年)4月1日から:生産性向上の委員会が本来の義務になります(令和6年厚生労働省令第16号 附則第4条。外部サービス利用型を除く)。
よくある失敗(当社の整理)
上の省令・解釈通知・指針の求めに照らして、特定施設で起こりやすいものを並べた当社の整理です。
- 訪問・通所向けの計画を流用する:虐待防止・感染症・BCPは特定施設では年2回以上で、身体拘束は委員会・指針・研修が全部要ります。
- 特養・老健向けの計画を流用する:感染症の委員会はおおむね6月に1回以上で足ります。感染症とBCPの新規採用時を「必ず」と書くのも、通知の書き分けと食い違います。
- 「事故防止の委員会は省令にないから不要」と考える:有料老人ホームの指針は、事故発生の防止の委員会と研修を求めています。
- 外部サービス利用型で委託先に任せきりにする:基本サービスの従業者の研修・委員会は特定施設の事業者の義務で、委託先の業務の実施状況は定期的に確認して記録します(第192条の10第8項)。
無料の研修キットと年間計画表
このサイトでは、虐待防止・身体拘束・感染症対策・BCP・ハラスメント・認知症介護基礎研修などのテーマ別に、読み上げ用レジュメ・確認テスト・実施記録様式・出席簿(認知症介護基礎研修は受講案内と受講記録様式)を無料で表示・印刷できます。「義務研修一覧表」でサービス類型に「認知症GH・特定施設(居住系)」を選ぶと、当てはまる研修だけの一覧と、頻度に応じて月を配置した年間計画表も作れます(無料・登録なし。入力内容はお使いのブラウザの中にだけ保存されます)。
この記事で確認した一次資料
本文の条番号・回数・委員会・減算の率・Q&Aの問番号・加算率・指針の項番号は、次の一次資料の原文で2026年10月27日に確認しました(リンクは記事末尾の「出典(一次資料)」)。法令・介護報酬は改定されます。最終的な適用は指定権者(地域密着型特定施設は市町村)へご確認ください。
- 省令:平成11年厚生省令第37号の第12章と準用される条、平成18年厚生労働省令第34号の第6章、同第35号の第11章、介護保険法第8条と同法施行規則第15条(いずれも e-Gov 法令検索の現行条文)、令和3年厚生労働省令第9号・令和6年厚生労働省令第16号の附則。
- 通知・告示・Q&A:老企第25号の平成30年度・令和3年度(Vol.934)・令和6年度改正の新旧対照表、地域密着型の老計発第0331004号の項(Vol.934)、令和6年厚生労働省告示第86号の新旧対照表、留意事項通知(老企第40号・老計発第0331005号)、Q&A(Vol.1)問164〜問169、Vol.1345、運営指導マニュアルとその別添、平成27年厚生労働省告示第96号。
- 有料老人ホームの設置運営標準指導指針(老発第0718003号・最終改正 老発1206第2号)の本文と新旧対照表。2026年の変更は、令和8年度介護報酬改定について(介護給付費分科会資料)と厚生労働省のカスハラ対策リーフレット。
- 訂正:2026年10月22日版の感染症とBCPの新規採用時の書き方(「必ず」)を、Vol.934 の特定施設の項(「実施すること」)に合わせて直しました。
この記事を書いたチームは、note でも介護の仕事で考えたことを書いています。note をフォローする
出典(一次資料)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)
- 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)
- 指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第35号)
- 介護保険法(平成9年法律第123号)
- 介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第15条(法第8条第11項の厚生労働省令で定める施設=養護老人ホーム・軽費老人ホーム)
- 介護保険最新情報 Vol.934(令和3年度改定・解釈通知改正)
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(老企第25号)平成30年度改正の新旧対照表(別紙5・PDF)(全文)
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(老企第25号)令和3年度改正の新旧対照表(PDF)
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(老企第25号)令和6年度改正の新旧対照表(別紙10・抄)
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示」(令和6年厚生労働省告示第86号・PDF)
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(老企第40号)令和6年度改正の新旧対照表(別紙2・抄)
- 介護保険最新情報 Vol.1225(令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)・令和6年3月15日)
- 介護保険最新情報 Vol.1345(令和6年度改定 Q&A)
- 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」(令和6年7月改訂)
- 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」別添 確認項目及び確認文書(令和6年7月改訂・PDF)
- 厚生労働省「厚生労働大臣が定める施設基準」(平成27年厚生労働省告示第96号・法令等データベース)
- 厚生労働省「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」(本文・PDF・2026年10月27日確認)
- 厚生労働省老健局長通知「有料老人ホームの設置運営標準指導指針について」(平成14年7月18日老発第0718003号・最終改正 老発1206第2号 令和6年12月6日)新旧対照表(PDF)
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」(社会保障審議会介護給付費分科会 第253回 資料1・令和8年1月16日)
- 厚生労働省リーフレット「令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます!」
【免責事項】本キットは研修実施の参考資料です。法令・運営基準・介護報酬の内容は改定されることがあります。実際の運用にあたっての最終確認は、指定権者(都道府県・市区町村等の自治体)へのご確認をおすすめします。本キットの利用により生じた損害について、当社の損害賠償責任は、故意・重過失を除き購入代金の額を上限とします。